ストレスチェック規程作成のポイント

ストレスチェック規程として検討すべき項目

 ストレスチェック制度においては、心身に関する状況やストレスの程度といった要配慮個人情報を取り扱います。ストレスチェックを法令や指針、実施マニュアルといった厚生労働省が定めたルールに準拠しつつ、有効な取り組みとするためには、以下の項目を網羅的、かつストレスチェック制度開始前に検討する必要があります。また、ストレスチェック規程は従業員に公開し、どのようなシステムで取り組みが行われるのかを事前に周知することも大切です。

ストレスチェック関連

  • ストレスチェック規程の目的や変更手続き、周知方法
  • 規程の適用範囲(対象)
  • ストレスチェック制度の趣旨等の周知法令
  • ストレスチェック担当者選任の基準
  • ストレスチェックの実施者の特定
  • ストレスチェックの実施事務従事者選任の基準
  • 面接指導の実施者の特定
  • ストレスチェック制度の実施時期
  • ストレスチェックの対象者
  • 受検方法の特定(用紙やWebといった媒体)
  • ストレスチェック制度で用いる調査票の特定
  • ストレスの程度の評価方法や高ストレス者の選定方法(≠面接指導対象者)
  • ストレスチェック結果の通知方法
  • セルフケアに関する方針
  • 会社への結果提供に関する同意取得の有無や方法
  • 従業員がストレスチェック要する時間の賃金の取扱い(会社負担が原則)
  • 面接指導の申出の方法
  • 面接指導の実施方法
  • 面接指導結果に基づく医師からの意見聴取方法 等

面接指導や集団分析等

  • 面接指導結果を踏まえた措置の実施方法
  • 面接指導を受けるのに要する時間の賃金の取扱い
  • 集計・分析の対象集団
  • 集計・分析の方法
  • 集計・分析結果の利用方法
  • ストレスチェック結果の記録の保存担当者
  • ストレスチェック結果の記録の保存期間・保存場所
  • ストレスチェック結果の記録の保存に関するセキュリティの確保
  • 事業者に提供されたストレスチェック結果・面接指導結果の保存方法
  • ストレスチェック結果の共有範囲
  • 面接指導結果の共有範囲
  • 集団ごとの集計・分析結果の共有範囲
  • 健康情報の取扱いの範囲
  • 情報開示等の手続き
  • 苦情申し立ての手続き
  • 守秘義務
  • 会社が行わない行為
  • 施行期日

ストレスチェック規程の作成手順

 ストレスチェック規程は、厚生労働省や委託先企業がサンプルとして用意している規程令をもとに、人事労務担当者が自社の制度方針を反映した規程案をまず作成するという手順が一般的です。この後、規程案は安全衛生委員会で調査審議(検討)されますが、規程の決裁者には事前に確認を依頼し、意見やアドバイスを得ておくと安全衛生委員会で承認された規程案の決裁をスムーズに進めることができるでしょう。ストレスチェック制度を実施する各事業場の安全衛生委員会においては、規程案の内容がご自身の職場にマッチしているか、無理がないかを中心に検討(読み合わせ)を進めます。この際、安全衛生委員会のメンバーの方々がストレスチェック制度の全体像や注意点を理解していくことは非常に大切です。

規程内容のアップデート

 ストレスチェック規程は、産業医や実施体制、外部委託先の変更があった際など、制度の内容を変更する度にアップデートが必要です。また、昨今の健康経営や働き方改革への対応と連動して、ストレスチェック後の集団分析を実施される企業は増えていますが、ストレスチェック導入時は集団分析を実施しないと定められていたケースも多く、見落としがちです。現在のストレスチェック制度の内容と規程に相違がないか、今一度確認いただくことをお勧めします。

ストレスチェック規程Q&A

 ストレスチェック規程に関するよくある疑問と回答をご紹介しています。記載内容は、省令や指針、実施マニュアル等の記載内容の解釈により、一部当機構による見解も含まれます。

Q1. ストレスチェック規程は必ず作成しないといけないのか?

 ストレスチェック制度に関する社内規程の作成は義務ではないものの、実施マニュアル等にて作成が求められているほか、社内のストレスチェック制度についての基本方針を周知するためにも必要です。また、そもそも従業員が安心してストレスチェックを受検できるようにするには説明が必要であり、万一、ストレスチェック制度の内容のながれについて従業員とのトラブルが生じた際もそれらの根拠として明文化された書面は非常に重要です。

Q2. ”規程”という名称を必ず使わないといけないのか?

 規程という名称を必ず使用しなければならないというルールはありません。事業者によっては『ストレスチェック要領』『ストレスチェック細則』『ストレスチェックに関する内規』『ストレスチェック実施計画』といった様に、自社に合わせた名称で策定をされるケースもあります。いずれにせよ、上記内容が明示されると共に社内の定めとしての取り扱いが行われ、広く従業員に周知されていればどのような名称でも問題ありません。

Q3. 厚生労働省による規程案から不要なところを削除したり簡略化してもいいのか?

 ストレスチェック規程例に記載された各項目は、法令や指針に準拠しつつ、有意義な取り組みとするために検討や策定が必要な事項ですので、基本的には内容の削除や簡略化はすべきではありません。ただし、法令や指針で省略が認められている勤務先への結果提供の同意取得をしないといった、会社が実施の有無を選定できる工程については「当社は●●●を実施しない」と明記することに問題はありません。