法改正や賃金体系の見直し、新しい制度の導入などをきっかけに、就業規則の作成・変更が必要になる場面は少なくありません。しかし就業規則がそもそもない場合の作成手順、変更届の書き方・意見書の作成手順・周知の方法・10人未満の事業場の扱いについて、正確に把握できていないという人事労務担当者の方も多いのではないでしょうか。当解説記事では、就業規則の作成方法と変更方法を5つのステップで整理したうえで、変更届・意見書のテンプレートの入手先と書き方・従業員への閲覧・周知義務・10人未満の事業場の対応・厚生労働省のモデル就業規則(令和7年12月版)の活用方法まで、労働基準法の条文をもとにわかりやすく解説します。
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就業規則の基本と法的根拠
就業規則の作成・変更手続きを正確に進めるために、まず就業規則の定義と法的根拠を確認しておきましょう。
就業規則の定義と役割
就業規則とは、簡潔にいうと、事業場における労働条件(始業・終業時刻・賃金・休暇等)および服務規律(服務上の規則・懲戒等)を文書としてまとめた言わばルール集です。会社と従業員の双方が守るべき最低限のルールを明文化したものであり、採用時の条件提示・労使間のトラブル防止・会社の安全配慮義務の履行といった場面で重要な役割を持ちます。
就業規則に定められた内容は、一定の要件のもとで労働者全員に対して効力を持ちます(労働契約法第7条)。また、合理的な内容であれば、変更に反対する労働者に対しても変更後の就業規則を適用できます(同法第10条)。
労働基準法が定める作成義務と対象事業場
就業規則の作成・届出義務は、労働基準法第89条に定められています。「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない」とされており、常時10人以上の労働者を使用する事業場が作成・届出の義務を負います。
ここで重要なのは事業場単位という点です。本社・支店・工場などが別々の場所にある場合は、それぞれが独立した事業場として就業規則の作成・届出が必要です。また「10人以上」のカウントには雇用形態は関係なく、パートタイム・アルバイト・有期雇用労働者も含まれます。義務に違反した場合は30万円以下の罰金が科される可能性があります(労働基準法第120条)。
就業規則がない場合の作成方法
就業規則を一度も作成したことがない事業場がゼロから就業規則を整備する場合、何から始めればよいかが最初の壁となります。まずは必要な記載事項を把握し、厚生労働省が公開する無料のテンプレート(モデル就業規則)を出発点として作成を進めることが、最も手間のかからない現実的な方法です。
まず絶対的必要記載事項・相対的必要記載事項を把握する
労働基準法第89条は、就業規則に必ず記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)と、定める場合には記載しなければならない事項(相対的必要記載事項)を定めています。
| 就業規則の記載事項 | 具体的な項目および法定内容の詳細 |
|---|---|
| 絶対的必要記載事項 | 絶対的必要記載事項は以下の3項目です。労働時間に関する事項として始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交替制の場合は就業時転換に関する事項が含まれます。賃金に関する事項として賃金の決定・計算・支払方法、賃金の締切り・支払の時期、昇給に関する事項が含まれます。退職に関する事項として退職の事由・手続き(解雇の事由を含む)が含まれます。 |
| 相対的必要記載事項 | 相対的必要記載事項は、退職手当・臨時の賃金(賞与等)・安全衛生・職業訓練・災害補償および業務外の傷病扶助・表彰および制裁・その他当該事業場の労働者全員に適用される定めに関する事項です。制裁(懲戒)規定を設ける場合は、その種類と程度を相対的必要記載事項として記載しなければなりません。 |
また、育児・介護休業法などの労働基準法以外の法令で導入が義務づけられている制度については、就業規則(または別規程)に定める必要があります。
厚生労働省のモデル就業規則を出発点にする
就業規則をゼロから作成する際の最も手軽で信頼性の高い出発点が、厚生労働省が公開している「モデル就業規則」です。詳細は後述しますが、Word形式でダウンロードできるため、自社の業種・規模・実態に合わせてカスタマイズしながら使用することができます。モデル就業規則は法改正のたびに改訂されており、現行法に対応した内容となっています(最新版:令和7年12月版)。
就業規則作成から届出・周知までの流れ
就業規則を新規に作成する場合の全体的な流れは、変更の場合と同じ5ステップ(就業規則案の作成→過半数代表者への意見聴取→意見書の作成→届出→周知)を踏みます。作成にあたっては、まず自社の労働条件の実態(所定労働時間・賃金体系・休暇制度等)を整理し、モデル就業規則を参照しながら各条文を自社の実情に合わせて記載します。就業規則の内容が法令の基準を下回らないことを確認し、社会保険労務士や弁護士に確認を依頼することで、法令違反や後のトラブルのリスクを低減できます。
就業規則の変更が必要なタイミング
就業規則の変更が必要となる主なタイミングを把握しておくことで、見直しのサイクルを計画的に設けることができます。
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法改正への対応
育児・介護休業法・労働基準法・最低賃金法・パートタイム・有期雇用労働法など、労務関連法令の改正があった場合は就業規則の関連条文を見直す必要があります。特に近年は育児・介護休業法の改正が頻繁であり、2025年4月・10月の改正対応として就業規則・育児介護休業規程を改訂した事業場も多くあります。 -
労働条件の変更
賃金体系の見直し・各種手当の新設または廃止・所定労働時間の変更・休暇制度の変更・テレワーク・フレックスタイム制の導入などがあった場合も変更が必要です。その他、労働基準監督署からの是正勧告を受けた場合や、会社設立から一度も就業規則を見直していない場合も変更・整備の好機です。
就業規則の変更方法:5つのステップ
就業規則の変更は、労働基準法が定める以下の5つのステップを順番に踏むことが法的に求められています。
| 就業規則変更の5ステップ | 実務対応の手順、法律上の修正・補足内容の詳細 |
|---|---|
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ステップ1: 変更内容の検討と新旧対照表の作成 |
まず変更する条文・内容を検討し、変更前後の条文を並べた「新旧対照表」を作成します。新旧対照表は法定の必須書類ではありませんが、変更箇所を明確にするために実務上広く活用されており、就業規則変更届の「変更事項」欄に別紙として添付する形が一般的です。 【重要】 変更内容が「現在の就業規則の基準(労働条件)を引き下げる『不利益変更』」にあたる場合は、特に慎重な対応が必要です労働基準法などの法定基準を下回る改定は、同意の有無に関わらず労基法第13条により絶対無効となります。実務上のリスクは『現在の社内ルールからの不利益変更』です。不利益変更の場合は原則として労働者の個別同意が必要であり、同意がない場合でも労働契約法第10条に定める「合理性の要件(変更の必要性・変更後の内容の相当性・労働組合等との交渉の経緯等)」を満たさない限り、変更の効力は生じません。 |
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ステップ2: 過半数代表者への意見聴取 |
就業規則を変更する際は、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合(過半数組合)がある場合はその労働組合の意見を、ない場合は労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)の意見を聴取しなければなりません(労働基準法第90条第1項)。 過半数代表者は、管理監督者でない者の中から、労働者の過半数を代表することについて労働者全員の意見を集約し選出した者でなければなりません。会社が一方的に特定の人を指名することは認められていません。過半数代表者の選出プロセスの適正性が後のトラブルで争われるケースもあるため、選出方法(挙手・投票・持ち回り等)と選出の事実を記録として残すことが推奨されます。 【補足】 選出の分母および投票権利者には、正社員だけでなく、パート・アルバイト、管理監督者、休職者など「その事業場で働くすべての労働者」を含める必要があります。 |
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ステップ3: 意見書の作成 |
意見聴取の後、過半数代表者(または過半数組合)の意見を記載した意見書を作成します。意見書は就業規則変更届に必ず添付しなければならない重要書類です(労働基準法第90条第2項)。 【補足】 法律上求められているのは「意見の聴取」であり「同意」ではないため、過半数代表者の意見が「反対」や「異議あり」であっても、その旨が記載された意見書を添付すれば労基署への届出(ステップ4)自体は受理されます。ただし、反対意見がついた場合はステップ1の「不利益変更の合理性」が裁判等で厳しく審査される引き金になります。 |
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ステップ4: 就業規則変更届の作成と提出 |
変更後の就業規則・意見書・就業規則変更届をそろえて、事業場を管轄する労働基準監督署に提出します。提出方法は窓口への持参・郵送・電子申請(e-Gov等)の3種類があります。法令上の提出期限は「速やかに」とされており、具体的な日数の定めはありません。変更の実施日(効力発生日)の前後いずれでも提出は可能ですが、できる限り速やかに提出することが望ましいです。 複数の事業場に同一内容の就業規則を適用する場合は、本社を管轄する労働基準監督署への「本社一括届出」を活用することで手続きを効率化できます(厚生労働省「就業規則一括届出制度」参照)。 【補足】 窓口や郵送の場合、提出用と会社控え用の「計2部」が必要です。電子申請(e-Govやマイナポータル連動システム)で行うと、郵送コストや2部刷りの手間がゼロになり、受領印代わりの「公文書」もデータ管理できるため、現代のガバナンスとしては電子申請が圧倒的標準です。 |
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ステップ5: 従業員への周知・閲覧できる環境の整備 |
就業規則は届出をするだけでは効力が発生しません。変更後の就業規則を「従業員がいつでも閲覧できる状態」にする周知の義務があります(労働基準法第106条)。周知なしには就業規則の効力自体が生じないため、このステップを軽視しないことが重要です。 ①常時各作業場の見やすい場所に掲示・備え付ける ②書面で全員に交付する ③共有サーバーや社内イントラネット等にPCから常時アクセスできる環境を整える。 「総務部のキャビネットに施錠保管し、閲覧に許可が必要」といった運用は周知義務違反(=変更が無効)とみなされる最高裁判例があります。 |
就業規則変更届のテンプレートと書き方
就業規則変更届には法定の様式はありませんが、厚生労働省が公開するテンプレートを活用することが最も確実です。
就業規則変更届のテンプレート入手先
就業規則変更届のテンプレート(様式)は、厚生労働省の「主要様式ダウンロードコーナー」からWordファイルとしてダウンロードできます。同ファイルの1ページ目が「就業規則(変更)届」、2ページ目が「意見書」の様式です。なお、ファイルの日付が「平成」表記のままとなっている場合がありますので、使用の際は「令和」に修正してください。
また、都道府県労働局や各労働基準監督署のウェブサイトでも様式を公開している場合があります。管轄の労働基準監督署の書式と厚生労働省の書式に実質的な違いはありませんが、管轄署の書式を使用することで窓口対応がスムーズになる場合があります。
記載項目と書き方のポイント
就業規則変更届の主な記載項目と記載のポイントは以下のとおりです。
| 記載項目 | 内容と書き方のポイント |
|---|---|
| 事業場の名称・所在地 | 登記上の住所ではなく、届出対象の事業場の実際の所在地を記載 |
| 使用者職氏名 | 代表者の職名と氏名(法人の場合は代表取締役等の職名と氏名) |
| 変更事項 | 変更する条文番号・変更前の内容・変更後の内容を記載。変更箇所が多い場合は「別紙新旧対照表のとおり」と記載して新旧対照表を添付することも可能 |
| 変更年月日 | 就業規則の変更(効力発生)の日付を記載 |
変更事項の記載は正確に行うことが重要です。「第○条を変更する」という大まかな記載ではなく、変更前後の条文内容を対比できる形で記載することで、労働基準監督署でのチェックがスムーズになります。
意見書のテンプレートと書き方
意見書は就業規則変更届に必ず添付する法定書類です。その性格と書き方を正確に理解しておきましょう。
意見書が必要な理由と法的根拠
意見書は、就業規則の変更にあたって過半数代表者(または過半数組合)の意見を聴取したことを証明する書類です。根拠は労働基準法第90条第2項「使用者は、就業規則の届出に際し、(中略)意見を記した書面を添付しなければならない」です。
意見書を添付しなかった場合は同法第120条により30万円以下の罰金が科される可能性があります。また、意見書の添付がない届出は受理されない場合があります。なお、意見書に所定の「様式」は法令上定められていませんが、前述の厚生労働省テンプレートの2ページ目が意見書様式として広く活用されています。
意見書の記載項目とテンプレート例
意見書に記載すべき主な項目は以下のとおりです。
- 就業規則の変更にかかる意見書という標題
- 変更する就業規則の内容(または「変更届添付の就業規則のとおり」と記載)
- 意見の内容(「異議なし」「以下のとおり意見がある」等)、意見がある場合はその具体的な内容
- 意見を述べた日付
- 過半数代表者(または過半数組合)の役職・氏名・押印
- 選出方法の記載(過半数代表者の選出経緯を明記することで選出の適正性を示す)
| 意見書のテンプレート例 |
|---|
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意見書 【事業場】 所在地:○○○○ 名 称:○○○○ 使用者職氏名:○○○○ 殿 令和○○年○○月○○日
今般、令和○○年○○月○○日をもって意見を求められた就業規則の変更(案)について、労働基準法第90条第2項の規定に基づき、下記の通り意見を提出します。 記 【意見内容】 (※特に意見がない場合の記載例) 今回の就業規則の変更について、異議はありません。 (※意見がある場合の記載例) ・第○条の○○に関する変更について、○○○○という理由から、○○○○とするよう配慮を求めます。 ・第○条の○○に関する変更について、○○○○という理由から、○○○○とするよう配慮を求めます。その他については異議ありません。
以上 【労働者代表】 (労働者の過半数で組織する労働組合の名称、または労働者の過半数を代表する者の職氏名) 氏名(または名称):○○○○(※過半数代表者の場合は、職名と氏名を記載) 選出方法(※過半数代表者の場合) ○○○○ (例:挙手による多数決、労働者全員による投票、話し合いによる選出 など) |
反対意見が出た場合の扱い
過半数代表者から反対意見が記載された意見書であっても、就業規則変更届の提出・届出そのものは有効です。意見書の目的は「意見を聴取したこと」の証明であり、「賛成を得ること」ではありません(労働基準法第90条の趣旨)。つまり、反対意見が記載された意見書を添付して変更届を提出することは法律上問題なく、就業規則の変更手続きとして有効です。
ただし、特に不利益変更に関する意見書に強い反対意見が記載されている場合は、変更の合理性の判断において不利な材料として評価される場合があります。反対意見が出た場合は、その理由・内容を記録に残したうえで、弁護士・社会保険労務士に相談することを推奨します。
就業規則の閲覧・周知義務
就業規則は届出・変更の手続きを完了するだけでは効力が生じません。労働者がいつでも確認できる状態にする「周知」が効力発生の要件です。
労働基準法第106条が定める3つの周知方法
労働基準法第106条第1項は、就業規則の周知方法として以下の3つを定めています。
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常時各作業場の見やすい場所への掲示または備え付け
事業場内の従業員が日常的に目にする場所(休憩室・更衣室・廊下の掲示板等)への掲示や閲覧用冊子として備え付ける方法 -
書面の交付
全従業員に就業規則の書面を交付する方法であり、入社時に新しい版を渡すなど -
磁気テープ・磁気ディスクその他これらに準ずるもの(電子データ)に記録し、かつ各作業場に当該記録の内容を常時確認できる機器を設置する方法
社内のイントラネット・共有フォルダ等での電子データ公開
電子データでの周知の要件
電子データによる周知については、厚生労働省の平成11年1月29日基発第45号(磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物による周知について)において、以下の2つの要件をともに満たす場合に労働基準法第106条の周知として認められるとされています。電子データでの閲覧環境を整える場合は、単に共有フォルダに保存するだけでなく「誰でも・いつでも・容易に」確認できる状態にすることと、その方法を従業員全員に周知することが求められます。
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従業員が自ら電子機器を操作して就業規則等のデータを引き出せる権限を与えられていること
例:社内ネットワークへのアクセス権限の付与 -
必要なときに内容を容易に確認できるよう、電子データの閲覧方法を周知していること
例:保存場所・ファイル名・アクセス手順の周知
周知義務に違反した場合のリスク
就業規則の周知を怠った場合のリスクは大きく2つあります。
法的効力の喪失として、就業規則は周知されていない場合その効力が生じないとする判例があります(最高裁平成15年10月10日判決)。つまり変更後の就業規則を届け出ても、従業員への周知を怠れば変更の効力が生じない可能性があります。罰則のリスクとして、労働基準法第106条・第120条により30万円以下の罰金の対象となる場合があります。
10人未満の事業場の取り扱い
従業員が10人未満の小規模事業場については、就業規則の取り扱いが一般の事業場と異なります。
10人未満は作成・届出義務なし──ただし作成は強く推奨されている
労働基準法第89条の就業規則の作成・届出義務は「常時10人以上の労働者を使用する事業場」が対象です。したがって常時使用する労働者数が10人未満の事業場には、法律上の作成義務・届出義務はありません。
ただし、厚生労働省の見解も「常時使用する労働者数が10人に満たない事業場についても就業規則を作成することは望ましいことである」と明確に示しており(厚生労働省・愛知労働局)、10人未満だからといって作成しなくてよいという意味ではありません。
10人未満でも就業規則を作成すべき3つの理由
10人未満の事業場であっても就業規則を作成すべき主な理由として以下の3点が挙げられます。
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労使トラブルの防止
就業規則がなければ労働条件・服務規律・懲戒の基準が不明確となり、従業員との間でのトラブルが生じた際に会社側の主張を裏付ける根拠がありません。就業規則の効力として、10人未満でも就業規則を作成して周知すれば法的効力が発生します(労働契約法第7条)。 -
変更時の効力
変更の際に合理性があれば反対する労働者にも適用できます(同法第10条)。 -
採用・人材確保の観点
就業規則があることで会社のルールが明確化され、従業員が安心して就業できる環境となり、採用・定着率の向上にもつながります。
10人未満が就業規則を変更する場合の手続き
10人未満の事業場が任意で就業規則を作成・変更する場合は、以下の点が10人以上の事業場と異なります。
労働基準監督署への届出義務がないため、変更届の提出は不要です。意見聴取・意見書の作成義務もありませんが、任意で行うことは差し支えなく、また従業員との関係をよりオープンにするという観点からは意見を聴くことが望ましいといえます。周知義務については、10人未満でも就業規則を作成・変更した場合は従業員が確認できる状態にする(閲覧できる環境を整える)ことが就業規則の効力発生の前提です。
厚生労働省のモデル就業規則(令和7年12月版)について
厚生労働省が公開している「モデル就業規則」は、就業規則を新規に作成する場合・既存の就業規則を見直す場合の両方に役立つ無料のテンプレートです。就業規則の整備に際して最初に参照すべき公式資料として、多くの事業場・社会保険労務士に活用されています。
参考リンク:モデル就業規則(厚生労働省ホームページ)
最新版は令和7年12月版であり、今回の改訂では国会または地方議会の議員に立候補するための休暇に関する規程例の追加(第32条)、犯罪被害者等の被害回復のための休暇等・その他の特別休暇の紹介の追加(第5章解説)、および法改正の反映等の改訂が行われています。
モデル就業規則の主な章立ては以下のとおりです。
| モデル就業規則の章立て | 主な内容 |
|---|---|
| 第1章 総則 | 目的・適用範囲 |
| 第2章 採用、異動等 | 採用手続き・労働条件の明示・異動等 |
| 第3章 服務規律 | 遵守事項・ハラスメントの禁止・副業・兼業 |
| 第4章 労働時間・休憩・休日 | 所定労働時間・変形労働時間制・フレックスタイム制等 |
| 第5章 休暇等 | 年次有給休暇・産前産後休業・育児休業・介護休業・特別休暇等 |
| 第6章 賃金 | 賃金の決定・計算・支払方法・割増賃金等 |
| 第7章 定年、退職及び解雇 | 定年・退職・解雇の事由・手続き |
| 第8章 退職金 | 退職金の支給・計算方法等 |
| 第9章~第14章 | 安全衛生・災害補償・表彰・制裁・研修・副業兼業等 |
モデル就業規則はWord形式(編集可能)とPDF形式(閲覧用)の2種類で公開されており、外国語版(英語・中国語・ポルトガル語・ベトナム語)およびやさしい日本語版も用意されています。外国人労働者が在籍する事業場での活用にも対応しています。
なお、パートタイム・有期雇用労働者向けの「パートタイム・有期雇用労働者就業規則の規定例」も厚生労働省より別途公開されており、正社員と異なる雇用形態を持つ事業場はこちらも参照することを推奨します。
モデル就業規則はあくまでも「標準的な例」であり、業種・職種・企業規模・経営方針に応じてカスタマイズすることが前提です。特に賃金体系・退職金の有無・懲戒の種類と程度などは自社の実態に合わせた記載が必要です。就業規則の内容については社会保険労務士や弁護士へのチェックを依頼することで、法令違反・労使トラブルのリスクを低減することができます。
就業規則に関するよくある質問
就業規則の変更は「届出」より「周知」が本質
就業規則の変更手続きにおいて、多くの担当者が「届出が完了すれば終わり」と認識しがちですが、法的な効力発生という観点では「周知(従業員がいつでも閲覧できる状態)」のほうが本質的な意義を持ちます。
当解説記事で解説したとおり、就業規則作成・変更の5ステップ(就業規則案の作成または変更内容の検討→意見聴取→意見書作成→変更届の提出→周知)はいずれも省略できない手続きです。特に①意見聴取の適正性(過半数代表者の選出プロセスの記録)、②意見書の添付、③変更後の周知(閲覧できる環境の整備)の3点が実務上のつまずきポイントとして多く見られます。
厚生労働省のモデル就業規則(令和7年12月版)・テンプレートを積極的に活用しながら、変更の必要性が生じたときに速やかに対応できる体制を整えておくことが、法令遵守と労使トラブル防止の両立につながります。就業規則の作成・変更に不安がある場合は、社会保険労務士や弁護士に相談することをお勧めします。
就業規則の変更手続きに関する主要情報へのクイック参照表(リンク集)
| カテゴリ | タイトル(リンク) |
|---|---|
| モデル就業規則 | モデル就業規則について(厚生労働省) |
| モデル就業規則(Word) | モデル就業規則 全体版・Word形式(令和7年12月) |
| モデル就業規則(PDF) | モデル就業規則 全体版・PDF形式(令和7年12月) |
| 変更届・意見書テンプレート | 主要様式ダウンロードコーナー(厚生労働省) |
| 法令 | 労働基準法(e-Gov法令検索) |
| 電子申請 | e-Gov電子申請(デジタル庁) |
| 就業規則の本社一括届出 | 就業規則の本社一括届出について(厚生労働省) |
※上記リンク先は変更される場合がありますのでご注意ください。

