フェムテック|女性特有の健康課題と職場での取り組み方の解説と主要な支援サービスを紹介

公開日: 最終更新日: 執筆:一般社団法人メンタルセーフティー推進機構
人事労務担当者・産業保健スタッフ向けの「フェムテック」を解説したアイキャッチ画像

「月経の痛みがひどくて会議に集中できない」「更年期症状で仕事のパフォーマンスが落ちている気がする」「不妊治療と仕事の両立がつらい」——こうした女性特有の健康課題が職場の生産性や就業継続に大きく影響していることが、近年データで明らかになってきました。2024年2月に経済産業省が公表した試算では、女性特有の健康課題による社会全体の経済損失は年間約3.4兆円にのぼるとされています(経済産業省「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」令和6年2月)。この課題を解決するために注目されているのが「フェムテック」です。


当解説記事では、フェムテックの定義・対象とする健康課題・市場動向・職場での導入メリット・健康経営との関係・人事担当者が実践できる取り組みまでを経済産業省・内閣府の情報をもとに体系的に解説し、主要なフェムテック支援サービス・ソリューションもご紹介します。

 

💡 この記事でわかること
  • 1フェムテックの正しい定義や語源をはじめ、月経、妊活・不妊、更年期など対象となる女性特有の健康課題の種類、および日本国内における市場規模の現状がわかります。
  • 2経済産業省が試算した「働く女性の健康課題による年間約3.4兆円の経済損失」の具体的な内訳と、企業が改善に取り組むことで期待できる最大1.1兆円のポジティブインパクト(効果)が整理できます。
  • 3人事労務担当者や産業保健スタッフが職場でフェムテックや関連施策を導入・活用するための具体的な進め方、および「健康経営優良法人」の認定審査における位置づけや関係性が理解できます。

フェムテックとは

フェムテック(FemTech)とは「Female(女性)」と「Technology(テクノロジー)」を組み合わせた造語で、テクノロジーの力によって女性の健康課題を解決する製品・サービスの総称です。

フェムテックの語源と定義

フェムテックという言葉は、2016年にデンマーク出身の起業家イダ・ティン(Ida Tin)が月経トラッキングアプリ「Clue」を経営する際に初めて使い始めたとされています。それまで「女性の健康」はタブー視・個人的問題として扱われ、テクノロジーの恩恵が及びにくい領域でしたが、この言葉が広まることで社会的・経済的に重要な課題領域として認識が広がりました。

日本では経済産業省が「フェムテックを活用した働く女性の就業継続支援事業(補助事業)」を令和3年度から実施しており、「新しい当たり前をつくり女性が働きやすい社会を」というコンセプトのもとフェムテックの普及を推進しています(経済産業省フェムテックプロジェクトサイト「femtech-projects.jp」)。

フェムテックについて、女性特有の健康課題・3.4兆円の経済損失・職場での導入メリット・健康経営との関係など実務上の重要ポイントをまとめた要約図
フェムテックとは

フェムケアとフェムテックの違い

フェムテックと並んで使われる言葉に「フェムケア(FemCare)」があります。フェムテックがデジタル・テクノロジーを活用した製品・サービスを指すのに対し、フェムケアは吸水ショーツ・月経カップ・ケア用品など、デジタル技術に限らない女性の健康・ウェルネスを支援する製品・サービス全般を指します。市場動向の調査では両者を合わせて「フェムケア&フェムテック市場」として集計されることが多く、矢野経済研究所の2024年の調査では2023年の市場規模は約750億円と報告されています(三井住友海上「フェムテックとは?基本的なとらえ方と課題解決のポイントを解説」2025年)

フェムテックが対象とする女性特有の健康課題

フェムテックが解決しようとする女性特有の健康課題は、女性のライフステージに応じて多岐にわたります。

ライフステージ・経済損失項目 具体的な健康課題の内容、経済損失の試算、およびフェムテックの取り組み詳細(原文通り)
月経に関する課題
(月経随伴症状・PMS)
月経痛(生理痛)・PMS(月経前症候群)・過多月経・月経不順など、月経に関連する症状は多くの女性が職場で経験しながらも「個人的な問題」として抱え込んでいる健康課題です。厚生労働省の調査では、月経随伴症状によって職場で困った経験のある女性は約5割にのぼるとされており(経済産業省「健康経営における女性の健康の取り組みについて」2019年3月)、プレゼンティーイズム(症状を抱えながら出勤することによる生産性低下)の主要因のひとつとなっています。
フェムテックの取り組みとして、月経周期・症状・体調をトラッキングするアプリ・オンライン婦人科相談サービス・職場への生理用品設置支援等が代表的です。
妊活・不妊治療に関する課題 不妊治療は身体的・精神的・経済的に大きな負担を伴い、通院回数の多さから就業との両立が困難になるケースが多くあります。2022年4月から保険適用が拡大された不妊治療ですが、職場での理解・配慮体制の整備は十分ではない事業場も多く残っています。フェムテックの取り組みとして、排卵予測・妊孕性(妊娠しやすさ)に関する情報提供アプリ・自宅で簡易的にチェックできる検査キット・オンライン相談サービス等があります。
更年期症状に関する課題 更年期症状(ほてり・発汗・気分の変動・倦怠感・不眠等)は40代後半〜50代の女性に多く現れます。ちょうど管理職・キャリアの中核を担う年代に重なることから、更年期症状が適切にケアされないと「役職定年前の離職」「能力発揮の機会の損失」という問題につながります。フェムテックとして、更年期症状のセルフモニタリングアプリ・オンライン産婦人科・漢方処方サービス等が提供されています。
婦人科系疾患・がん検診に関する課題 子宮頸がん・子宮筋腫・子宮内膜症・卵巣がんなどの婦人科系疾患は、早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。しかし忙しさや受診ハードルの高さから検診を受けていない女性は多く、職場での啓発・がん検診費用補助・受診機会の確保が重要です。フェムテックとして、受診勧奨アプリ・オンライン診療・HPVワクチンに関する情報提供等があります。
産後ケア・子育てとの両立に関する課題 産後の身体的回復・産後うつ・授乳支援・子育てと就業の両立に関する課題も、フェムテックが対象とする領域に含まれます。職場復帰後の柔軟な働き方の提供・搾乳スペースの確保・保育情報のデジタル化等が取り組まれています。

女性特有の健康課題による経済損失は年間3.4兆円

経済産業省は2024年2月、女性特有の健康課題による社会全体の経済損失の試算を初めて公表しました。試算はボストン コンサルティング グループが行い、月経随伴症状・更年期症状・婦人科がん・不妊治療の4項目を対象に、女性が働けなくなることや生産性低下が生じることによる経済損失を算出したものです(経済産業省「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」令和6年2月)。

試算の結果、これら女性特有の健康課題による労働損失等の経済損失は、社会全体で約3.4兆円と推計されています。日本では働く人の44%を女性が占めており(経済産業省、2024年)、女性の健康課題が職場の生産性・企業業績に与える影響は非常に大きいといえます。

一方でこの試算は、職場での支援体制整備によるポジティブな可能性も示しています。あらゆる企業が支援に取り組んだ場合のポジティブインパクトは最大約1.1兆円と試算されており、また一定の仮定を置いて健康経営優良法人の認定を受けている全ての企業・法人が同様の取組を行った場合、約0.2兆円と試算されています。

この試算は「女性の健康課題は個人の問題ではなく、企業が戦略的に対処すべき経営課題である」という認識を経済産業省として示したものとして、人事労務・健康経営の文脈で広く引用されています。

フェムテックが注目される背景

フェムテックがこれほど注目される背景には、複数の社会的変化が重なっています。

  • 女性活躍推進の加速
    2016年施行の女性活躍推進法をはじめとして、女性の就業継続・管理職登用を後押しする制度整備が進むなかで、女性の働きやすさを支える健康管理の重要性が改めて認識されるようになりました。現在、働く人の約44%を女性が占めている状況のもとで、女性の健康課題への職場対応は企業の競争力に直結する経営課題です。
  • 人的資本経営・健康経営の推進
    有価証券報告書への人的資本情報開示の義務化(2023年3月)を受け、女性に関する健康への取り組みが投資家・ESG評価機関からの評価項目として位置づけられるようになっています。健康経営度調査(経済産業省・東京証券取引所)では、2024年度から「女性のキャリア継続に向けた健康課題に関する支援」の設問が評価項目に追加されました(経済産業省「経済産業省における女性活躍の推進」2024年11月)。
  • デジタル技術・テレヘルスの発展
    スマートフォンの普及・ウェアラブルデバイスの進化・オンライン診療の規制緩和等により、フェムテックのサービス提供基盤が急速に整備されたことも普及を後押ししています。

職場でのフェムテック活用のメリット

フェムテックを職場に取り入れることは、女性従業員・企業双方にとって以下のようなメリットをもたらします。

メリットの対象 具体的な導入メリットおよび創出される価値の詳細(原文通り)
女性従業員へのメリット 健康状態の可視化とセルフケアの促進として、月経周期・体調・症状をトラッキングすることで、自分の体の状態を客観的に把握し、受診のタイミングを判断したり、体調に合わせた業務調整を医師に相談したりする根拠として活用できます。職場での相談・受診ハードルの低下として、職場にフェムテックサービス・相談窓口が整備されることで、「この職場では女性の健康課題を話せる」という心理的安全性が高まります。就業継続のサポートとして、不妊治療・月経症状・更年期症状のケアを職場が支援することで、離職を検討する機会が減り、長期的なキャリア形成が実現しやすくなります。
企業・組織へのメリット フェムテックの導入は、健康と生産性の向上として月経痛や更年期症状などによる欠勤・パフォーマンス低下の軽減、女性活躍・管理職登用の促進、そして妊娠・出産・不妊治療などを理由にした離職を防ぐ離職率の低下に寄与します。採用競争力の向上として、女性の健康課題に対して理解ある職場環境は、就職・転職活動において大きな差別化要因となります。特に女性の管理職候補の採用・定着において有効に機能します。健康経営優良法人認定への寄与として、女性の健康支援の取り組みは健康経営優良法人の評価項目に含まれており、認定取得・維持の観点からも意義があります。

健康経営優良法人とフェムテックの関係

健康経営優良法人の認定基準において、女性の健康課題への支援は重要な評価項目として位置づけられています。経済産業省が2024年度から追加した「女性のキャリア継続に向けた健康課題に関する支援」の評価項目では、月経・更年期・妊娠・不妊治療等に関する情報提供・相談窓口の設置・フェムテックサービスの導入等が取り組みの内容として評価の対象となります(経済産業省「経済産業省における女性活躍の推進」2024年11月)。

フェムテックサービスの導入は、健康経営の文脈では「女性特有の健康課題への組織的な対応」として、健康経営度調査における評価向上・健康経営優良法人の認定要件充足という観点からも戦略的意義を持ちます。

人事労務担当者・産業保健スタッフが実践できる取り組み

フェムテックの導入・活用を職場で進めるために、人事労務担当者・産業保健スタッフとして実践できる取り組みを段階別に整理します。

導入・活用ステップ 具体的な取り組み内容 実務のポイント

ステップ①

環境整備と意識づくり

女性の健康課題についての社内啓発として、月経・更年期・不妊治療に関する基礎知識を全従業員(管理職を含む)に提供する研修・セミナーを実施します。「知らないから配慮できない」という状況を解消することが出発点です。相談しやすい環境の整備として、産業保健師・産業医への相談が女性の健康課題を話せる窓口として機能していることを全従業員に周知します。オンライン相談・匿名相談の仕組みを加えることで、相談のハードルをさらに下げられます。職場の物理環境の整備として、トイレへの生理用品設置・多目的室での搾乳スペースの確保・休暇取得の相談しやすい雰囲気づくりなど、すぐに実施できる環境整備から着手することも有効です。

【ハラスメント防止と対象の拡大】

研修の受講対象には、女性本人だけでなく男性従業員や経営陣、特に「現場の管理職(ライン長)」を強制受講の対象として巻き込むことが実務上の必須要件です。知識不足による「たかが生理痛で甘えるな」「更年期だから感情的なのか」といった不適切な発言は、セクシャルハラスメントやマタニティハラスメント(逆ハラ含む)に該当し、法的紛争に発展します。また、トイレへの生理用品設置等のインフラ整備を行う際は、過度な特別扱いという周囲の不満(逆差別感情)を生まないよう、「全体の生産性向上(労働損失の回避)のためである」という目的の全社アナウンスをセットで行います。

ステップ②
制度の整備
特別休暇制度の整備として、生理休暇(労働基準法第68条に規定)の取得しやすい環境づくりや、不妊治療・更年期症状に関する特別休暇・短時間勤務の制度化を検討します。就業規則への明記と全従業員への周知が必要です。フレキシブルな働き方の拡充として、月経痛や更年期症状に配慮したテレワーク・時差出勤・短時間勤務の活用が、症状のある日でも就業継続しやすい環境をつくります。産業保健スタッフとの連携強化として、産業医・産業保健師が月経・更年期に関する相談を受けられる体制を整備し、必要に応じて専門医療機関への受診を支援する仕組みを整えます。

【労働基準法上の強行規定と給与設計】

労働基準法第68条の「生理休暇」は、女性が請求した場合は必ず休ませなければならない強行規定(就業禁止義務)であり、拒否すれば罰則の対象となります。ただし、法律上「有給」にすることまでは義務づけていない(無給でも可)ため、実務上の取得率を高めるためには「最初の月1日までは有給とする」などの社内設計(就業規則への明記)が急所となります。また、「生理休暇」という名称への心理的抵抗感を減らすため、「エフ休暇(FemaleのF)」や「ウェルネス休暇」といった名称にアップデートし、不妊治療や更年期症状時にも包括的に使える多目的休暇制度へと再設計することが、2026年現在の先進企業のトレンドです。就業規則の変更に伴い、過半数代表の意見書を添えて労基署への届出(法第89条違反の回避)を確実に執行します。

ステップ③

フェムテックサービスの導入

フェムテックサービスを福利厚生として導入する際は、以下の観点からサービスを選定することが推奨されます。対象とする健康課題(月経・不妊・更年期等)と自社従業員のニーズの合致、利用しやすさ(アプリの使いやすさ・匿名性・日本語対応等)、個人情報・健康情報の取り扱いの安全性(要配慮個人情報として適切に管理されるか)、費用(1人あたりの月額・年額)と期待される効果、経済産業省の補助事業の活用可否の検討、の各点です。
先進的な取組を実施している企業や自治体の中には、妊活・不妊治療の相談サポートサービスやストレス状態を可視化できるアプリ、匿名で参加できるオンライン婦人科相談サービス等を試行することで女性の健康課題と仕事の両立に向けた支援の裾野が広がりつつあります。

【要配慮個人情報のシステム隔離】

アプリやオンライン診療サービスを選定する際の最大のリーガルな罠は、直前の表でハックした「健康情報のアクセス権限(個人情報保護法)」との整合性です。従業員がアプリに入力した月経周期や、オンライン相談で吐露した「不妊治療の深刻な悩み」といった医学的生データは、100%「要配慮個人情報」に該当します。これらがベンダー経由で「人事担当者」へ氏名紐づきで筒抜けになるようなシステム設計は、一発で個人情報保護法違反(前回の表にある1年以下の拘禁刑リスク)および人事評価のバイアス汚染を招きます。必ず「会社へは個人が特定できない統計データ(部署別の利用率など)のみが報告される」という**厳格な匿名性・情報遮断(チャイニーズウォール)が利用規約およびシステム構造上担保されていること**を、人事がベンダー監査(NDA締結時)で100%確認・立証する必要があります。

ステップ④
発展・定着:効果検証とPDCAの確立
フェムテックの取り組みを形骸化させず継続改善するには、効果を測定・評価して次へ反映するPDCAサイクルの構築が不可欠です。まずは生理休暇取得率やプレゼンティーイズム、離職率などをKPIとして事前に数値化し、客観的な評価指標を定めます。同時に、年1回程度の匿名アンケートで女性従業員の生の声を集約し、衛生委員会へ報告することで施策のズレを防ぎます。また、人事単独ではなく産業医や経営層も巻き込んだ組織的な体制を整え、健康経営などの年次計画に組み込むことで、戦略的かつ実効性のある支援へと深化させます。最終的に、これらの効果検証の結果を経済産業省の経済損失試算と組み合わせ、投資対効果という「経営言語」で経営層に報告することが、継続的な予算確保や全社的な取り組みの発展へとつながります。

【ROIの可視化と持続的予算確保】

フェムテックサービスや特別休暇を「導入しただけで満足して放置(形骸化)」させないために、**定期的な効果測定の仕組み(PDCAサイクル)**を必ず追加ステップとして組み込みます。具体的には、年に1回、独自の匿名アンケートや健康経営度調査のフレームワークを用いて、導入前後の「プレゼンティーイズム(健康問題を抱えながら働くことによる労働損失コスト)」の変動を数値化・算定します。さらに、女性の平均勤続年数の延伸、更年期世代(40代〜50代)の離職率の低下、管理職登用比率の推移といった「人的資本の成果指標(KPI)」と施策の因果関係を客観的に検証します。この検証結果を衛生委員会で審議した上で経営陣へレポート(フィードバック)し、次年度の福利厚生予算の継続・拡大を勝ち取るための経済的エビデンス(投資対効果:ROI)を確立させることが、管理部門の最終的な実務目標となります。

主要なフェムテック支援サービス・ソリューションの紹介

対象領域 / 企業名 主要ソリューション と その特徴
1. 月経・生理・PMSケア (女性の月経周期に伴うイライラや体調不良(PMS)、生理中の不快感をテクノロジーでサポートするサービス)
株式会社エムティーアイ ソリューション:ルナルナ
特徴:圧倒的なシェアを誇る生理日予測・体調管理アプリ。現在は妊活サポートや産婦人科との連携(ルナルナ メディコ)など、医療連携も強化。
株式会社ネクイノ ソリューション:smaluna(スマルナ)
特徴:オンラインで医師の診察を受け、ピルの処方から自宅配送までを完結できるプラットフォーム。助産師・薬剤師への無料チャット相談も提供。
株式会社ポーラ(旧株式会社Nagiより事業譲渡) ソリューション:Nagi(ナギ)
特徴:高機能な吸水サニタリーショーツのD2Cブランド。生理中の選択肢を広げ、エコで快適なライフスタイルを提案。
株式会社エイチームウェルネス ソリューション:ラルーン
特徴:生理日予測だけでなく、女性特有の悩みを相談できる匿名コミュニティ機能が充実した体調管理アプリ。
2. 妊活・妊娠・不妊治療サポート (子どもを望むパートナーの妊活や、不妊治療に伴う精神的・肉体的負担を軽減するソリューション)
株式会社ファミワン ソリューション:famione(ファミワン)
特徴:LINEを活用した妊活・不妊治療コンシェルジュサービス。専門家(不妊症看護認定看護師や臨床心理士など)が個別の相談にアドバイスを提供。
株式会社ステルラ ソリューション:婦人科ラボ
特徴:妊活や不妊治療、婦人科疾患に特化した医療機関の検索・予約、正しい情報提供を行うプラットフォーム。
株式会社ヘルスケアシステムズ ソリューション:卵巣年齢チェック(AMH検査キット)など
特徴:自宅で手軽にできる郵送検査キットを提供。自身の身体の状態を早期に知るきっかけを作っています。
3. 更年期ケア (心身のバランスが大きく揺らぐ更年期世代(40〜50代)に特化した相談窓口や情報提供サービス)
株式会社TRULY ソリューション:TRULY(トゥルーリー)
特徴:更年期の悩みに対するチャット相談や、オウンドメディアを通じた正しい情報発信、医師監修のセルフチェックなどを展開。
株式会社WRAY(レイ) ソリューション:WRAY
特徴:更年期やゆらぎ期を迎える女性に向けたヘルスケアD2Cブランド。サプリメントやインナーケア, スキンケア製品を幅広く展開。
4. 企業向け福利厚生・B2Bソリューション (女性従業員の離職防止や健康経営の一環として、多くの企業が導入を進めている法人向けサービス)
株式会社Cradle ソリューション:Cradle
特徴:企業向けフェムテック福利厚生サービス。提携医療機関の受診サポート、オンライン相談、DE&I(多様性・公平性・包括性)に関するセミナーなどを一括提供。
株式会社リンケージ ソリューション:FEMCLE(フェムクル)
特徴:法人向けの女性ヘルスケア支援サービス。専門医によるセミナー、オンライン診療、チャット相談を通じて、企業の健康経営や生産性向上を支援。
株式会社LIFEM ソリューション:ルナルナ オフィス
特徴:「ルナルナ」のノウハウを活かした法人向け健康経営支援サービス。月経・妊活・更年期など女性特有の健康課題に対し、専門医によるセミナー、産婦人科オンライン診療の相談・受診、ピル処方支援などを一気通貫で提供し、企業の生産性向上を支援。
Flora株式会社 ソリューション:Flora For Biz
特徴:独自の科学的・データドリブンなアプローチによる企業向け包括的ヘルスケアソリューション。AIを活用した体調管理アプリ、専門家(助産師・心理士など)への24時間相談チャット、eラーニング・研修プログラムを提供し、女性従業員のウェルビーイング向上と組織のエンゲージメント改善をサポート。

フェムテックに関するよくある質問

Q フェムテックは女性だけが対象ですか?男性や管理職も関係しますか?
A

フェムテックの直接的な対象は女性の健康課題ですが、取り組みの効果は組織全体に及びます。管理職が女性特有の健康課題について正しく理解することで、部下への適切な配慮・休暇取得の促進・負荷調整が可能になります。また不妊治療は「女性特有の課題」ではなく男女双方に関わる課題であり、男性従業員向けの情報提供・休暇制度の整備も合わせて進めることが推奨されます(経済産業省「女性特有の健康課題による経済損失の試算」2024年2月)。

Q 生理休暇と月経に配慮した取り組みはどう違いますか?
A

生理休暇は労働基準法第68条に基づき「生理日の就業が著しく困難な女性が請求した場合に与えなければならない」休暇であり、有給か無給かは就業規則の定めによります。一方、月経に配慮した取り組みは、生理休暇の取得しやすい環境づくりに加え、テレワーク・時差出勤・服薬相談の機会提供・生理用品の職場設置など、より広範な配慮を指します。生理休暇の取得率が低い事業場では、まず「取得することへの心理的ハードルの低減」から始めることが推奨されます。

Q 更年期症状への配慮は、どのような取り組みから始めればよいですか?
A

まず管理職向けの更年期に関する基礎知識研修を実施することが有効です。「体調が悪そうな部下に声をかける」「勤務形態の柔軟な調整を相談できる」という環境をつくることが出発点となります。次に産業医・産業保健師が更年期に関する相談を受け付けることを周知し、必要に応じて婦人科・更年期外来への受診を支援する仕組みを整えます。フェムテックサービスとして、更年期症状のトラッキングアプリやオンライン産婦人科の活用も選択肢のひとつです。

Q 不妊治療と仕事の両立支援はどのような制度が整備されていますか?
A

国としての法整備として、2022年4月から不妊治療の保険適用が拡大しました。事業主に対しては、厚生労働省の「不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック」にある取り組みの参考例が公表されており、不妊治療のための特別休暇の整備・時差出勤・テレワークの活用・相談窓口の設置等が推奨されています。キャリアアップ助成金の「仕事と育児の両立支援コース」等の助成制度も活用できる場合があります。

Q フェムテックサービスを導入した場合、従業員の健康情報はどのように扱われますか?
A

フェムテックサービスを通じて収集される健康情報(月経周期・症状・体調等)は、個人情報保護法上の要配慮個人情報に該当します。サービス導入にあたっては、個人情報の取り扱いに関する委託先(サービス提供会社)の体制を確認し、情報が事業者に提供される範囲・匿名性の保証・退会後のデータ消去方法等を契約書で明確にする必要があります。健康情報が人事評価・雇用判断に使用されないことを従業員に周知することで、安心してサービスを利用できる環境が整います。

Q 中小企業でもフェムテックに取り組めますか?
A

取り組めます。フェムテックの導入は大企業だけのものではなく、費用のかからない取り組みから始めることが可能です。生理用品の職場設置・産業保健師への相談周知・啓発セミナーの実施等は低コストで実施できます。また経済産業省は「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」を実施しており、中小企業でも申請できる補助制度が用意されています(実施年度によって内容が変わるため、最新情報を経済産業省のウェブサイトで確認してください)。健康経営優良法人の中小規模法人部門においても女性の健康支援が評価されることから、認定取得を目指しながら段階的に取り組みを広げることが推奨されます。

Q フェムテックの取り組みを健康経営度調査に反映させるにはどうすればよいですか?
A

健康経営度調査(大企業・中堅企業向け)では、2024年度から「女性のキャリア継続に向けた健康課題に関する支援」の設問が追加されました。具体的には月経・更年期・妊娠・不妊治療等に関する情報提供・相談窓口の設置・フェムテックサービスの導入等の取り組みを実施・記録していることが評価の対象となります。取り組みを実施したら、衛生委員会での審議記録・研修の実施記録・サービス導入の契約書等を根拠資料として保管し、健康経営度調査の回答時に正確に反映できるよう整理しておくことが推奨されます。

「女性の健康課題」を職場の「みんなの課題」に

フェムテックは単なるアプリやサービスの導入にとどまらず、「女性の健康課題を職場で話せる文化・環境をつくる」という組織変革のプロセスです。月経・更年期・不妊治療を「個人が我慢すべき問題」から「職場として一緒に向き合う課題」へと転換させることが、フェムテック活用の本質的な目的といえます。

経済産業省の試算が示す年間3.4兆円という経済損失の数字は、裏を返せば「適切な支援によってそれだけの価値が職場から生み出せる可能性がある」ということでもあります(経済産業省「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」令和6年2月)。

人事労務担当者・産業保健スタッフとして、まず自社の女性従業員のニーズを把握すること、管理職への啓発を行うこと、相談できる窓口を整備すること——この3点から始めることが、フェムテックを「制度として導入する」ことよりも先に必要な土台づくりとなります。

フェムテックに関する主要情報へのクイック参照表(リンク集)