心の健康づくり計画とは?策定の手順・盛り込む7つの事項・ストレスチェックとの関係を解説

公開日: 最終更新日: 執筆:一般社団法人メンタルセーフティー推進機構
人事労務担当者・産業保健スタッフ向けの「心の健康づくり計画」を解説したアイキャッチ画像

職場のメンタルヘルス対策を推進する際に「心の健康づくり計画」という言葉を耳にするものの、何をどう策定すればよいのか、どの法令に基づくものなのか、ストレスチェックとの関係はどうなるのかについて、体系的に理解できていないという人事労務担当者や産業保健スタッフの方は少なくないのではないでしょうか。

当解説記事では、厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(メンタルヘルス指針、平成18年3月策定・平成27年11月30日改正)および独立行政法人労働者健康安全機構が発行する「職場における心の健康づくり」(2025年7月版)をもとに、心の健康づくり計画の定義・策定の法的根拠・衛生委員会での調査審議・盛り込む7つの事項・ストレスチェックとの関係・PDCAサイクルによる運用・小規模事業場の対応まで体系的に解説します。


 

💡 この記事でわかること
  • 1「心の健康づくり計画」を策定する目的や法的根拠、なぜ衛生委員会での調査審議(法令上の付議事項)が必要なのかが明確になります。
  • 2事業者の表明から体制整備、健康情報の保護まで、厚生労働省の指針に基づき計画に盛り込むべき「7つの事項」の具体例がわかります。
  • 3ストレスチェック制度(集団分析)や「4つのケア」と計画をどう連動させ、PDCAサイクルで運用・評価していくべきか実務のコツが理解できます。

心の健康づくり計画とは

心の健康づくり計画とは、事業場における労働者のメンタルヘルスケアを効果的に推進するために、事業者が策定する中長期的な計画のことです。厚生労働省のメンタルヘルス指針では「事業場の現状とその問題点を明確にし、その問題点を解決する具体的な実施事項等についての基本的な計画」と定義されており、メンタルヘルスケアの取り組みに継続性・計画性を持たせるための土台となるものです(厚生労働省・労働者の心の健康の保持増進のための指針、平成27年11月30日改正)。

心の健康づくり計画について、策定の手順・7つの必須事項・ストレスチェックとの関係・PDCAサイクルによる運用など実務上の重要ポイントをまとめた要約図
心の健康づくり計画とは?

法的根拠

心の健康づくり計画の策定については、労働安全衛生法第70条の2第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定めた「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(メンタルヘルス指針)において、事業者に策定が求められています。指針第4項は「事業者は、衛生委員会等において十分調査審議を行い、心の健康づくり計画を策定することが必要である」と明確に定めています(独立行政法人労働者健康安全機構「職場における心の健康づくり」2025年7月版、p.6)。

心の健康づくり計画の策定は、法律上の義務(罰則付き)ではなく指針に基づく求められる対応ですが、メンタルヘルス指針は厚生労働大臣が法律の規定に基づき定めたものであり、事業者として対応することが強く推奨される行政上の指針です。計画を策定しないことが労働基準監督署の行政指導のきっかけになる場合もあります。

心の健康づくり計画が必要とされる背景

厚生労働省の令和5年「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、仕事や職業生活に関して強い不安・悩み・ストレスを感じている労働者の割合は82.7%にのぼります。また、精神障害による労災請求件数は令和5年度に3,575件と過去最多を更新しており、職場のメンタルヘルス問題は企業が組織的・計画的に対応すべき重要な経営課題となっています(独立行政法人労働者健康安全機構「職場における心の健康づくり」2025年7月版、p.3)。

こうした現状を受け、メンタルヘルス指針は「メンタルヘルスケアは、中長期的視点に立って、継続的かつ計画的に行われるようにすることが重要」と明示しており、場当たり的な対応ではなく計画に基づいた継続的な取り組みを事業者に求めています(同指針第4項)。

衛生委員会等における調査審議

心の健康づくり計画の策定にあたって最初の実務的なステップは、衛生委員会等での調査審議です。指針は、計画の策定をはじめ、その実施体制の整備等の具体的な実施方法や個人情報の保護に関する規程等の策定等にあたっては、衛生委員会等において十分調査審議を行うことが重要と定めています(同指針第3項)。

衛生委員会の付議事項としての根拠

衛生委員会においてメンタルヘルスに関する事項を審議することは、労働安全衛生規則第22条第10号「労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること」として法令上の付議事項に明記されています。この第10号は、精神障害等の労災認定件数が増加していることを踏まえ、衛生委員会等の付議事項として、第8号(健康の保持増進を図るための措置の実施計画の作成に関すること)とは別に明記されたものです(独立行政法人労働者健康安全機構「職場における心の健康づくり」2025年7月版、p.5)。

この樹立に関することには、事業場におけるメンタルヘルス対策の実施計画の策定等に関すること、事業場におけるメンタルヘルス対策の実施体制の整備に関すること、労働者の精神的健康の状況を事業者が把握したことにより当該労働者に対して不利益な取扱いが行われないようにするための対策に関すること、労働者の精神的健康の状況に係る健康情報の保護に関すること、事業場におけるメンタルヘルス対策の労働者への周知に関することが含まれます(同資料p.5)。

ストレスチェック制度に関する調査審議も衛生委員会で

ストレスチェック制度の実施体制および実施方法についても、衛生委員会の付議事項(第22条関係・第10号)として調査審議を行い、ストレスチェック制度の実施に関する規程を定め、これをあらかじめ労働者に対して周知するようにすることが必要とされています(平成27年5月1日基発0501第3号)。したがって、ストレスチェック制度に関する調査審議と心の健康づくり計画に関する調査審議を関連付けて行うことが望ましいとされています(同指針第3項)。

衛生委員会が設置されていない小規模事業場の対応

衛生委員会等の設置義務のない小規模事業場(常時50人未満)においても、心の健康づくり計画の策定およびその実施に当たっては、労働者の意見が反映されるようにすることが必要です。これは設置義務がない事業場であっても、労働者の意見を踏まえた計画づくりを行う努力が求められることを意味しています(同指針第3項)。

心の健康づくり計画に盛り込む7つの事項

メンタルヘルス指針は、心の健康づくり計画で定めるべき事項として以下の7項目を明示しています(同指針第4項・独立行政法人労働者健康安全機構「職場における心の健康づくり」2025年7月版、p.6)。

心の健康づくり計画の策定事項 具体的な表明内容および実施体制・措置の詳細
①事業者がメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明に関すること 計画の冒頭で、事業者自らがメンタルヘルスケアを積極的に推進することを表明します。これは単なる文言ではなく、事業者のコミットメントを組織全体・対外的に示す重要な宣言です。経営者が健康経営宣言等と一体的に表明することで、従業員・管理職のメンタルヘルスへの取り組み意識を高める効果があります。
②事業場における心の健康づくりの体制の整備に関すること 4つのケア(セルフケア・ラインによるケア・事業場内産業保健スタッフ等によるケア・事業場外資源によるケア)が適切に機能するための推進体制を整備します。具体的には産業医・保健師・衛生管理者・人事労務スタッフ・事業場内メンタルヘルス推進担当者それぞれの役割と分担を明確にし、外部資源との連携体制も含めて定めます。
事業場内メンタルヘルス推進担当者、衛生管理者等や常勤の保健師等から選任することが望ましく、労働者について人事権(解雇・昇進・異動に関する直接の権限)を持つ者を選任することは適当ではありません(同指針第5項(3)④)。
③事業場における問題点の把握及びメンタルヘルスケアの実施に関すること 自社の現状におけるメンタルヘルス上の問題点を把握し、その解決に向けた具体的な取り組み内容を定めます。問題点の把握にあたっては、ストレスチェックの集団分析結果・産業医等による職場巡視・労働者からのヒアリング・管理監督者の日常観察等を活用します。
4つのケアを中心とした一次予防(未然防止)・二次予防(早期発見・早期対応)・三次予防(職場復帰支援)それぞれの取り組みをバランスよく計画に位置づけることが求められます。
④メンタルヘルスケアを行うために必要な人材の確保及び事業場外資源の活用に関すること 産業医・産業保健師・衛生管理者等の社内の専門人材の確保と、産業保健総合支援センター(さんぽセンター)・EAP機関・医療機関等の事業場外資源の活用方針を定めます。社内に専門人材がいない場合は、地域産業保健センターへの相談・外部委託の活用を計画に明記することで、体制の空白を防ぎます。
⑤労働者の健康情報の保護に関すること メンタルヘルスに関する労働者の個人情報(ストレスチェック結果・面接指導結果・相談内容等)の取得・保管・利用・廃棄に関する社内規程・取り扱い担当者の範囲・守秘義務の対象者を定めます。
指針は、心の健康に関する情報を理由とした不利益取扱いの防止(解雇・雇止め・退職勧奨・不当な配置転換等の禁止)を事業者に求めており(同指針第8項)、この原則を計画にも反映させることが重要です。
⑥心の健康づくり計画の実施状況の評価及び計画の見直しに関すること 計画の実施状況を定期的に評価し、必要に応じて見直すPDCAサイクルの仕組みを定めます。評価指標の例として、ストレスチェックの集団分析結果の推移・高ストレス者比率の変化・精神的な理由による休職者数・メンタルヘルス研修への参加率・相談件数などが活用されます。評価の結果は衛生委員会に報告・審議することが推奨されます。
⑦その他労働者の心の健康づくりに必要な措置に関すること 上記6項目に加えて、各事業場の実態・課題に応じた措置を定めます。例えばハラスメント防止対策・長時間労働対策・育児・介護と仕事の両立支援・職場のコミュニケーション活性化・復職支援プログラムの整備など、自社特有の課題への対応を盛り込みます。

ストレスチェック制度と心の健康づくり計画の関係

ストレスチェック制度と心の健康づくり計画は、相互に密接に関連する仕組みです。メンタルヘルス指針は「ストレスチェック制度は、各事業場で実施される総合的なメンタルヘルス対策の取組みの中に位置づけることが重要であるため、心の健康づくり計画において、ストレスチェック制度の位置づけを明確にすることが望ましい」と示しています(独立行政法人労働者健康安全機構「職場における心の健康づくり」2025年7月版、p.6)。

具体的には、ストレスチェックの実施体制・実施頻度・結果の活用方法(高ストレス者への面接指導・集団分析結果の職場環境改善への活用)を心の健康づくり計画の中に明確に位置づけます。ストレスチェック制度の実施に関する規程の策定を、心の健康づくり計画の一部として行っても差し支えないとされています(同指針第4項)。

ストレスチェックの集団分析結果は、計画の③「問題点の把握」に活用できる最も客観的なデータのひとつです。集団分析から得られる「仕事のストレス判定図」で職場単位のストレス状況を数値化し、高ストレス部署への優先的な職場環境改善につなげることが一次予防の推進として重要です(同資料p.18〜19)。

4つのケアとの連動

心の健康づくり計画は、メンタルヘルス指針が定める「4つのケア」(セルフケア・ラインによるケア・事業場内産業保健スタッフ等によるケア・事業場外資源によるケア)の継続的かつ計画的な実施を支える土台です(同指針第2項)。

4つのケアが心の健康づくり計画の下でどのように機能するかを整理すると以下のとおりです。

ケアの種類 実施主体 計画上の位置づけ
セルフケア 労働者自身(管理監督者を含む) 教育研修・ストレスチェックの受検促進・相談体制の整備
ラインによるケア 管理監督者 職場環境の把握と改善・部下の相談対応・職場復帰支援
事業場内産業保健スタッフ等によるケア 産業医・保健師・衛生管理者等 計画の企画立案・健康情報の管理・事業場外資源との連携
事業場外資源によるケア さんぽセンター・EAP機関・医療機関等 情報提供・助言・ネットワーク形成
出典:厚生労働省・独立行政法人労働者健康安全機構「職場における心の健康づくり」(2025年7月版)、pp.7~8をもとに作成

計画においては、4つのケアそれぞれの担い手の役割と連携の仕組みを明確にすることが、取り組みを「やりっぱなし」にしないための実務上のポイントです。

PDCAサイクルによる運用と評価

心の健康づくり計画はPDCAサイクルで継続的に改善していくことが重要です。「組織づくりと計画(Plan)→実施(Do)→評価(Check)→見直し(Act)」という4段階のサイクルを回し続けることで、自社のメンタルヘルス対策の水準が着実に向上します(独立行政法人労働者健康安全機構「職場における心の健康づくり」2025年7月版、p.6)。

計画の評価にあたっては、プロセス評価(計画どおりに取り組みが実施されたか)とアウトカム評価(ストレス指標・休職者数等の結果指標が改善したか)の両面から行うことが推奨されています。なお、職場環境改善が医療費や疾病休業の軽減に効果を示すには数年以上かかる場合があるため、効果評価は急ぎすぎず、対策の継続が重要です(同資料p.19)。

小規模事業場での心の健康づくり計画の進め方

常時50人未満の小規模事業場では、産業医等の専門スタッフの確保が困難な場合が多くあります。このような事業場では、事業者が「まず実施可能なところから着実に取り組む」という姿勢が重要とされています(同指針第9項)。

具体的な進め方として、事業者がメンタルヘルスケア実施の表明を行ったうえで、セルフケアとラインによるケアを中心として取り組みを開始することが推奨されています。必要な専門スタッフが確保できない場合は、衛生推進者または安全衛生推進者を事業場内メンタルヘルス推進担当者として選任するとともに、都道府県産業保健総合支援センター(さんぽセンター)や地域産業保健センターが提供する無料の支援・相談サービスを積極的に活用することが有効です(独立行政法人労働者健康安全機構「職場における心の健康づくり」2025年7月版、pp.11・27)。

さんぽセンターでは全国47都道府県に設置されており、ストレスチェックの導入・メンタルヘルス不調の予防から職場復帰支援までのメンタルヘルス対策全般について相談できます(同資料p.27)。

心の健康づくり計画の策定・運用に役立つポイント

実務担当者が計画を策定・運用する際に押さえておくべきポイントを整理します。

心の健康づくり計画運用のポイント 具体的な解説および参考指標(国策)の詳細
就業規則・安全衛生管理規則との連動 就業規則・安全衛生管理規則との連動として、心の健康づくり計画は「安全衛生管理規則等の自社規則に基づき策定する」形をとることで、社内での法的位置づけが明確になります(独立行政法人労働者健康安全機構「職場における心の健康づくり」2025年7月版、p.12)。
既存の取り組みの計画化 既存の取り組みの計画化として、すでに実施しているストレスチェック・健康診断の保健指導・メンタルヘルス研修等を「計画に位置づける」形で整理することで、ゼロから構築することなく計画の形式を整えることができます。
数値目標の設定 数値目標の設定として、第14次労働災害防止計画(2023〜2028年度)では「メンタルヘルス対策に取り組む事業場の割合を80%以上」「小規模事業場のストレスチェック実施割合を50%以上」「強いストレスを感じる労働者の割合を50%未満」という目標が設定されており、自社の計画の数値目標設定の参考にすることができます(同資料p.2)。

心の健康づくり計画に関するよくある質問

Q 心の健康づくり計画の策定は法律上の義務ですか?
A

法律(労働安全衛生法)に直接の罰則付き義務として規定されているわけではなく、同法第70条の2第1項に基づき厚生労働大臣が定めたメンタルヘルス指針において「策定することが必要である」と示されています。ただし指針は行政上の拘束力を持つものであり、策定していない場合は労働基準監督署の行政指導の対象となる可能性があります。また、健康経営優良法人の認定要件にも「心の健康づくりに関する計画の策定」が評価項目として含まれています。

Q 心の健康づくり計画はどのくらいの期間を対象として策定すればよいですか?
A

指針は「中長期的視点に立って継続的かつ計画的に行われるようにすることが重要」としており、一般的には3〜5年を計画期間として策定する事業場が多くあります。例えば「20XX年までの○年間に達成する目標」という形で長期目標を定め、年次目標を設定する構成が標準的です(独立行政法人労働者健康安全機構「職場における心の健康づくり」2025年7月版、p.15)。年次目標は衛生委員会での定期的な評価・見直しのサイクルと連動させることが推奨されます。

Q 心の健康づくり計画の策定に際して参考にできる様式やひな形はありますか?
A

独立行政法人労働者健康安全機構が発行する「職場における心の健康づくり〜労働者の心の健康の保持増進のための指針〜」には、A事業場における心の健康づくり計画及びストレスチェック実施計画(例)が掲載されており、計画策定の実務的な参考になります(同資料pp.12〜15)。また中央労働災害防止協会「働く人の心の健康保持増進 新しい指針と解説」にも記載例が示されています。

Q 心の健康づくり計画はどのように従業員に周知すればよいですか?
A

策定した計画は衛生委員会での審議・決定を経て、全従業員に周知することが求められます。周知方法として、社内のイントラネットへの掲載・社内報・朝礼や全体会議での説明・入社時オリエンテーションへの組み込みなどが一般的です。計画に基づくストレスチェック制度の実施に関する規程については、実施前にあらかじめ労働者に周知することが法令上必要です(平成27年5月1日基発0501第3号)。

Q 心の健康づくり計画とストレスチェック実施規程は別々に作成する必要がありますか?
A

必ずしも別々に作成する必要はありません。メンタルヘルス指針は「ストレスチェック制度の実施に関する規程の策定を心の健康づくり計画の一部として行っても差し支えない」としています(同指針第4項)。一体的に作成することで管理の効率化と整合性の確保につながります。ただし、ストレスチェックの実施に関する規程は、実施前に労働者への周知が義務づけられており、計画とは別に独立した文書として整備することで運用上の明確さが増す場合もあります。

Q 計画を策定しても実施率が上がらない場合はどうすればよいですか?
A

実施率が上がらない原因の多くは、管理職の関与が不十分・従業員への周知が不徹底・教育研修が計画に組み込まれていない・評価と見直しのサイクルが機能していないのいずれかです。PDCAサイクルの「C(評価)」として、何が課題で計画がどの程度達成されているかを衛生委員会で定期的に確認し、「A(見直し)」として計画・実施方法の改善を繰り返すことが改善への基本的なアプローチです。さんぽセンターへの相談や、第三者(産業医・外部コンサルタント等)による評価の活用も有効です。

Q メンタルヘルス不調者の個人情報は心の健康づくり計画の中でどのように扱うべきですか?
A

計画の第5項目「労働者の健康情報の保護に関すること」として、健康情報を取り扱う担当者の範囲・取り扱い目的・守秘義務の対象・情報の共有範囲と手順を明記します。産業医等が得た健康情報を事業者に提供する場合は、提供情報の範囲を就業上の措置に必要な最小限のものとし、診断名・検査値・具体的な症状等の詳細な医学的情報を提供してはならないとされています(同指針第7項)。取り扱いルールを衛生委員会で審議のうえ社内規程化し、全担当者に周知することが必要です。

計画は「策定」よりも「動かし続けること」が本質

心の健康づくり計画は、策定してファイルに綴じておくだけでは何の意味も持ちません。計画に基づいて4つのケアが継続的・計画的に実施され、PDCAサイクルを通じて毎年改善が加えられることで、はじめて計画が「生きたもの」になります。

当解説記事でご紹介したとおり、計画に盛り込む7つの事項は相互に補完的な関係にあります。事業者のコミットメントの表明(①)があって体制が整備(②)でき、問題を把握して取り組みを実施(③)し、人材と外部資源を確保(④)し、個人情報を保護(⑤)しながら評価・見直し(⑥)を行い、各事業場固有の課題にも対応(⑦)するという一連の流れが機能してはじめてメンタルヘルスケアが実効性を持ちます。

人事労務担当者・産業保健スタッフとして取り組む第一歩は、まず衛生委員会に心の健康づくり計画の策定を議題として上程し、自社の現状課題を議論することから始めてみてください。指針に示された7つの事項を柱として、自社の実情に合った計画をつくることが、職場のメンタルヘルス水準の継続的な向上につながります。

心の健康づくり計画に関する主要情報へのクイック参照表(リンク集)