ストレスチェック制度関係Q&A解説|厚生労働省公開Q&A全文と実務ポイント
ストレスチェックQ&Aは、厚生労働省が公開するストレスチェック指針やストレスチェック制度実施マニュアル(50人以上版・令和3年2月版)記載の内容に基づいて、記載内容の理解を手助けしたり、解釈を補足するために公開されています。当ページではQ&A記載のカテゴリーごとに全文の紹介と、当法人による実務を進めるためのポイントや補足情報を分かりやすくご紹介しています。
当ページ記載はストレスチェック制度関係Q&A(厚生労働省・令和3年2月版)を元に作成しています。最新情報は厚生労働省サイトをご参照ください。
QQ(0-1). 学校の職員や地方公務員についても対象となるのでしょうか。+
A私立公立を問わず学校の職員や地方公務員についても労働安全衛生法の適用があり、今回のストレスチェック制度についても実施対象となります。
解説実務上のポイント:学校・自治体におけるストレスチェックの実施義務と報告の留意点
公立・私立学校や自治体も、労働安全衛生法に基づき常時50名以上の労働者がいる事業場では、年1回のストレスチェック実施が義務付けられています。公務員であっても同法の適用を受けるため、民間企業と同様の手順で実施や報告を行う必要があります。実務上は、多忙な教職員や交代制の職員など、職態に合わせた受検環境の整備が重要です。また、実施後は遅滞なく所轄の労働基準監督署へ報告書を提出する義務がある点に留意してください。なお、国家公務員へのストレスチェックは人事院が制度を策定して実施されています。
QQ(0-2). 当社は本社と事業所から成りますが、本社で一括して「事業者」として実施することは可能ですか。その場合、実施方法等について事業所ごとに衛生委員会等での調査審議が必要でしょうか。+
A労働安全衛生法の他の規定と同様に、ストレスチェック制度の規定も、事業場ごとの適用となりますが、全社共通のルールを、全社の会議体で審議するなどして定め、それを各事業場に展開するというやり方も可能です。ただし、法等の規定は事業場ごとの適用となりますので、全社共通のルールについても、各事業場の衛生委員会等において確認し、労働者に周知等していただくとともに、事業場ごとに実施者や実施事務従事者が異なる、実施時期が異なるなど、全社で共通化できない内容がある場合は、それぞれの事業場ごとに衛生委員会等で調査審議の上、決めていただく必要があります。また、実施状況について労働基準監督署への報告も各事業場が、その事業場を管轄する労働基準監督署に対して行う必要があります。
解説実務上のポイント:事業場単位の原則と運用の効率化
ストレスチェック制度は労働安全衛生法に基づき、原則として事業場単位での実施や運用が求められます。中央安全衛生委員会など、本社組織が主導してストレスチェック規程や全社共通の指針を作成することは可能ですが、実施者や実施時期などの詳細は拠点ごとに異なるケースが多いため、各事業場の衛生委員会等で必ず調査審議を行う必要があります。また、各拠点の衛生委員会での議事録も必ず最新のストレスチェック規程と保存をし、ストレスチェック報告書の提出先も各管轄の労働基準監督署となるため、本社担当者は各拠点の進捗と報告漏れがないかを一括管理する体制を構築することが、実務上の重要なポイントです。
QQ(0-3). 建設現場など、同じ現場に関係請負人の労働者が働いている場合、ストレスチェックは関係請負人の労働者も含めて実施するのでしょうか。それともそれぞれの所属の会社で行うことになるのでしょうか。+
Aストレスチェックの実施義務はそれぞれの事業者に対して課されるもので、それぞれの労働者が所属する事業場ごとに実施する必要があります。なお、義務の対象となる「常時使用する労働者」が50人以上の数え方について、建設現場の場合は、独立した事業場として機能している場合を除き、直近上位の機構(営業所や支店など)を事業場とみなし、その事業場の所属労働者数で数えることとなります。
解説実務上のポイント:雇用形態と事業場規模の算定
ストレスチェックの実施義務は雇用契約を結ぶ各事業者に帰属するため、元請け・下請けに関わらず、労働者が所属する会社ごとに実施する必要があります。建設現場等の有期事業では、現場単位ではなく支店等の上位組織に労働者数を含めて50人以上か否かを判断する点に注意が必要です。実務上は、派遣労働者と同様に契約関係を整理し、自社の実施対象範囲を正確に把握しておくことが、実施漏れを防ぐ鍵となります。
詳細についてはストレスチェック義務化に関する記事内、「ストレスチェックの対象者」をご参照ください。
QQ(0-4). ストレスチェックや面接指導の費用は、事業者が負担すべきものでしょうか、それとも労働者にも負担させれば良いのでしょうか。+
Aストレスチェック及び面接指導の費用については、法で事業者にストレスチェック及び面接指導の実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担すべきものです。
解説実務上のポイント:費用負担の原則と運用
ストレスチェック等(ストレスチェックや医師による面接指導)は、法令上の義務が事業者に課されているため、費用は全額事業者が負担しなければなりません。これには検査の実施費用だけでなく、面接指導を行う医師への謝礼等も含まれます。また、受検や面接に要した時間の賃金支払いについては、法的な義務ではないものの、労働者が安心して制度を利用できるよう、勤務扱いとするなど不利益が生じない運用を検討することが推奨されます。なお、ストレスチェックをきっかけとして従業員が個人の判断で通院するといった場合までは、事業者が費用負担する必要はありません。
QQ(0-5). ストレスチェックや面接指導を受けるのに要した時間について、賃金を支払う必要がありますか。+
A賃金の支払いについては労使で協議して決めることになりますが、労働者の健康の確保は事業の円滑な運営の不可欠な条件であることを考えると、賃金を支払うことが望ましいです(一般健康診断と同じ扱い)。
解説実務上のポイント:賃金支払いの取り扱いと受検率の向上
ストレスチェック等の実施時間は、法的に賃金支払いが義務付けられているわけではありません。しかし、メンタルヘルス不調の早期発見という目的を考慮すると、一般健康診断の扱いに準じて勤務扱いとすることが望ましいです。実務上は、受検や面接に要する時間の取り扱いをあらかじめ社内規定で明確にしておく必要があります。労働者が時間の負担を気にせず安心して受検できる環境を整えることが、制度の実効性を高める鍵となります。
QQ(0-6). 海外の長期勤務者に対するストレスチェックはどのようになるのでしょうか。+
A海外の現地法人に雇用されている場合は、日本の法律が適用されず、ストレスチェックの実施義務はありませんが、日本の企業から現地に長期出張している社員の場合は、ストレスチェックを実施する必要があります(一般健診と同じ扱い)。
解説実務上のポイント:海外赴任者の対象範囲と実施体制
海外赴任者のストレスチェックは、雇用関係の所在によって義務の有無が決まります。日本企業からの派遣や長期出張者は、国内の一般健診と同様の扱いとなるため、実施対象に含める必要があります。実務面では、時差や通信環境を考慮し、Web受検システムの活用や、面接指導が必要になった際のオンライン対応体制を事前に整えておくことが重要です。特に異文化環境下では不調をきたしやすかったり、早期発見が難しいケースが多いため、国内基準に準じつつ、海外赴任者にも適切で迅速なフォローができる体制やルール構築が求められます。
QQ(0-7). 在籍出向労働者のストレスチェックの実施については、出向元または出向先のいずれにおいて行うのでしょうか。また、集団分析はどうなるのでしょうか。+
Aストレスチェックは、労働契約関係のある事業者において行うこととなります。在籍出向の場合に、出向先事業者と出向元事業者の間に労働契約関係があるかは、労働実態の実態、即ち、指揮命令権の所在、賃金の支払い等総合的に勘案して判断される必要があります。このため、「在籍出向労働者」のストレスチェックを出向先で行うか、出向元で行うかについては、その実態を総合的に勘案して判断する必要があります。なお、集団分析については、職場単位で実施することが意義があるため、在籍出向の実態にかかわらず、出向先事業者において、出向者も含めてストレスチェックを実施するとともに集団分析を実施することが望ましいといえます。
解説実務上のポイント:出向者の契約形態と集団分析の最適化
在籍出向者のストレスチェックは、指揮命令権や給与支払実態に基づき労働契約関係を判断し、原則としてその契約主体である事業者が実施義務を負います。一方、集団分析は職場の環境改善が目的であるため、実務上は実際の勤務地である出向先で、自社社員と共に行うことが推奨されます。運用にあたっては、出向元と出向先で費用負担や情報提供の範囲を事前に協議し、受検漏れや二重実施を防ぐ連携体制を構築し推進するといった対応が肝要です。
QQ(0-8). 50人未満の事業場がストレスチェック制度を実施した場合についても指針に従うこととなるのでしょうか。+
A50人未満の事業場で実施する場合についても、法令、指針等に従う必要があります。ただし、労働基準監督署への報告に関しては、50 人以上の事業場に対してのみ義務付けられるものですので、50 人未満の事業場については、報告義務はありません。
解説実務上のポイント:努力義務事業場におけるルールと報告不要の原則
常時50人未満の事業場では、2028年まではストレスチェックの実施は努力義務ですが、実施する際は法令や指針に定める情報の適切な取り扱い等のルールを遵守する必要があり、これまでの50人以上向けストレスチェックマニュアルか、新たに公開された50人未満向けストレスチェックマニュアルに沿って実施することが求められます。なお、実施後の労働基準監督署への報告は義務付けられていません。法令上は任意の位置づけであっても各種指針に沿い、メンタルヘルス不調の未然防止や安全配慮義務の観点から積極的な実施が推奨されます。
詳しくはストレスチェック義務化に関する記事内、「ストレスチェックの対象者」をご参照ください。
QQ(0-9). 指針とマニュアルの法的な位置づけはそれぞれ何でしょうか。+
A指針は法第66条の10第7項に基づく公表するものであり、事業者は、指針に基づいてストレスチェック制度を実施する必要があります。また、マニュアルは法的な位置づけがあるものではなく、事業場でストレスチェック制度を実施する際の参考として公表するものです。
解説実務上のポイント:ストレスチェック指針の遵守とストレスチェック制度マニュアルの活用
指針は労働安全衛生法に基づき公表されたものであり、事業者はこれに即して制度を運用する義務があります。対して、マニュアルは具体的な事務手続きを例示した解説資料であり、法的拘束力はありませんが、標準的な実務を確認する際に極めて有用です。実務担当者は、まず指針で遵守すべきルールを正しく把握し、その上でマニュアルを円滑な運用のヒントとして活用しましょう。社内規程を整備する際は、指針の表現を基準に作成することが重要です。
QQ(0-10). 法に基づくストレスチェックの実施とは別に、新人研修の一環としてストレスチェックを性格検査等と組み合わせて実施することは可能でしょうか。+
A法に基づくストレスチェックの実施とは別に、新人研修の一環としてストレスチェックを性格検査等と組み合わせて実施していただくことは可能ですが、実施した場合の結果の情報管理については、今回のストレスチェック制度における考え方等に留意していただく必要があります。
解説実務上のポイント:目的の明確化と不利益取り扱いの防止
研修等で独自に実施する場合も、制度の趣旨である不利益取り扱いの禁止や個人情報の保護を尊重する必要があります。特に性格検査と組み合わせる際は、結果が本人の意図しない形で評価や配属に利用されないよう、厳重な情報管理が求められます。良かれと思って実施した研修が、思わぬ法令違反の火種にならないよう、法に基づく検査との違いを労働者へ明確に説明し、情報の取り扱いルールを事前に周知することが肝要です。
QQ(0-11). 嘱託産業医が実施者としてストレスチェックを行う場合、従来よりも従事時間が増加しますが、その費用の助成はありますか。+
A労働者数50人以上の事業場については、ストレスチェック制度の実施は事業者の法的な義務であり、これにかかる費用を国が助成することは想定していません。なお、努力義務である労働者数50人未満の事業場については、事業場がストレスチェックや面接指導を実施した場合の費用を助成する制度を設けています(労働者健康安全機構が実施)。
解説実務上のポイント:企業規模による助成制度の違い
50人以上の事業場では実施が法的義務であるため、費用はすべて自己負担です。産業医の工数増加に伴う追加報酬などはあらかじめ予算に組み込む必要があります。
・50人以上:義務(助成なし)
・50人未満:努力義務(助成金あり) 50人未満の事業場については、労働者健康安全機構の助成金を受けられる場合があります。実務担当者は自社の対象可否を確認し、制度を活用した効率的な運用を検討してください。
※上記はストレスチェックQ&A公開時の情報となります。
QQ(0-12). ストレスチェックの実施義務の対象は、「常時50人以上の労働者を使用する事業場」とされていますが、この50人は、どこまで含めてカウントする必要があるのでしょうか。アルバイトやパートも含めるのでしょうか。+
A労働安全衛生法第66条の10に基づくストレスチェックは、労働安全衛生法施行令第5条に示す「常時50人以上の労働者を使用する事業場」に実施義務が課されています。この場合の「常時使用している労働者が50人以上いるかどうか」の判断は、ストレスチェックの対象者のように、契約期間(1年以上)や週の労働時間(通常の労働者の4分の3以上)をもとに判断するのではなく、常態として使用しているかどうかで判断することになります。したがって、例えば週1回しか出勤しないようなアルバイトやパート労働者であっても、継続して雇用し、常態として使用している状態であれば、常時使用している労働者として50人のカウントに含めていただく必要があります。
解説実務上のポイント:人数カウントの基準と注意点
ストレスチェックの実施義務が発生する50人の判定基準は、社会保険や一般健診の対象基準とは異なる点に注意が必要です。契約期間や週の労働時間にかかわらず、その事業場で継続的に働いている実態があれば、週1回勤務のパートやアルバイトの方も人数に含まれます。これは産業医の選任義務が生じる基準と同様です。実務担当者は、一時的な増減ではなく常態としてどうかを常に確認し、義務発生の把握漏れを防ぐことが重要です。
詳細についてはストレスチェック義務化に関する記事内、「ストレスチェックの対象者」をご参照ください。
QQ(1-1). 労働安全衛生規則により、産業医の職務に「心理的な負担の程度を把握するための検査の実施並びに同条第三項に規定する面接指導の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること」が追加されましたが、産業医はストレスチェック制度にどこまで関与すれば、職務を果たしたことになるのでしょうか。+
A労働安全衛生規則第14条の規程は、産業医がストレスチェックや面接指導等の実施に直接従事することまでを求めているものではありません。衛生委員会に出席して意見を述べる、ストレスチェック制度の実施状況を確認するなど、何らかの形でストレスチェックや面接指導の実施に関与すべきことを定めたものです。ただし、事業場の状況を日頃から把握している産業医が、ストレスチェックや面接指導等の実施に直接従事することが望ましいと考えています。
解説実務上のポイント:産業医の役割と連携のあり方
産業医の職務として、必ずしも直接ストレスチェックを執り行う必要はありませんが、衛生委員会での助言や制度の監督など、何らかの形での関与が求められています。実務上は、職場の状況に精通している産業医が実施者や面接指導医を務めることが、より実効性の高いケアにつながります。担当者は、産業医と連携し、どの範囲の役割を担ってもらうかを事前に協議し、運用規定に反映させておくことが重要です。
詳細についてはストレスチェック義務化に関する記事内、「ストレスチェック実施者と実施事務従事者、実務担当者」をご参照ください。
QQ(2-1). ストレスチェック制度などの外部機関に委託し、産業医は共同実施者となる場合、外部機関が提案した調査票や高ストレス選定基準等について、どのように産業医の意見を聞けばよいのでしょうか。また、どのように衛生委員会等で調査審議すればよいのでしょうか。+
A外部機関から提案された調査票や選定基準について、衛生委員会等で調査審議をすることが必要です。産業医には、衛生委員会等の場にあらかじめ意見を求めるか、衛生委員会等の場で見解を求めることで差し支えありません。
解説実務上のポイント:外部委託時の産業医の関与と審議の進め方
外部機関のパッケージを利用する場合でも、自社の実態に即した運用を確立するため、産業医の関与は不可欠です。具体的な進め方としては、外部機関から提示された案を事前に産業医へ共有し、医学的観点からの修正案や同意を得た上で、衛生委員会での調査審議に諮る流れがスムーズです。審議の議事録に産業医の意見や決定プロセスを明文化しておくことで、適正な制度運用としての証跡を残すことができます。
詳細についてはストレスチェック義務化に関する記事内、「ストレスチェックの実施方法とストレス調査票の選定」をご参照ください。
QQ(2-2). ストレスチェック制度に関する社内規程は、どのような形式で定めればよいでしょうか。就業規則に該当するのでしょうか。+
Aストレスチェック制度に関する内部規程については、特に形式を問いませんので、何らかの形で、文書化していただければ問題ありません。また、就業規則該当するものでもありませんので、労働基準監督署への届出も必要ありません。なお、厚生労働省のホームページに、モデル規程の例を掲載していますので、規程を定める際には、参考にしていただければと思います。
解説実務上のポイント:規程の明確化と周知の重要性
社内規程の策定は、制度の透明性を保ち労働者の不安を解消するために不可欠です。法的に就業規則への記載や労働基準監督署への届出義務はありませんが、実施方法や情報の取り扱い、不利益な取り扱いの禁止などを明文化し、全従業員に周知する必要があります。厚生労働省のモデル規程をベースに自社の実情に合わせて調整するのが効率的です。規程化することで、担当者変更時も一貫した運用を維持できるメリットがあります。
詳しくは、「ストレスチェック規程|衛生委員会による調査審議や作成の具体的手順を解説」をご参照ください。
QQ(2-3). ストレスチェック制度に関する社内規程において、実施者、実施事務従事者、面接指導を実施する医師は、全員の氏名を規程に明記しなければならないのでしょうか。+
A社内規程において、実施者、実施事務従事者、面接指導を実施する医師を明示する目的は、労働者の個人情報であるストレスチェック結果等を具体的に誰が取り扱うことになるのかを明確にすることにあります。従って、職名等で特定することが可能な場合は、必ずしも個人の氏名まで記載する必要はありません。また、実施事務従事者のように、個人情報を取り扱う者が複数おり、個人まで明記することが困難な場合は、例えば「●●課の職員」といったように部署名で示すことも可能です。これはストレスチェックの実施等を外部に委託する場合も同様です。なお、社内規程では具体的に記載せず、別途社員に通知するといった記載を行い、社内掲示板に掲示する、社員全員にメールで通知するといった方法によることも可能です。
解説実務上のポイント:管理の柔軟性と周知の徹底
規程に個人名を記載すると、異動や退職のたびに改定が必要になり、管理上の負担が大きくなります。実務上は、役職名や外部機関名など、役割を特定できる表現で定めるのが一般的です。ただし、実際に誰が担当するのかについては、実施の都度、社内掲示やメールなどで労働者へ確実に周知し、情報の透明性を確保する必要があります。可変性の高い情報は別添資料や通知で運用することで、規程のメンテナンス性を高めるのがコツです。
詳しくは、「ストレスチェック規程|衛生委員会による調査審議や作成の具体的手順を解説」をご参照ください。
QQ(3-1). 「こころの耳」に5分でできるストレスチェックが掲載されていますが、これを労働者が実施して産業医に提出することにすれば、事業者の義務が解除できるのではないでしょうか。+
A「こころの耳」に掲載しているストレスチェックはセルフチェックに使用するためのものであり、集団ごとの集計・分析や高ストレス者の選定などはできないことから、労働者が「こころの耳」を利用してセルフチェックを行っただけでは、法に基づくストレスチェックを実施したことにはなりません。なお、国では、労働者がストレスチェックを行い、データを集計したり高ストレス者を選定したりすることができるプログラムを提供しています。
解説実務上のポイント:セルフチェックと法定義務の区別
こころの耳の簡易チェックは個人の気づきを促すためのものであり、法に基づく実施者による判定や集団分析の機能がないため、これのみでは義務を果たしたことになりません。実務上は、厚生労働省が提供する無料の実施プログラムを活用するか、外部委託サービスを利用して、法に定められた判定アルゴリズムに基づき適切に実施する必要があります。ツールの選定時には、法定義務を完遂できる要件を満たしているか必ず精査してください。
詳しくはストレスチェック義務化に関する記事内、「調査票に含めるべき3つの領域」をご参照ください。
QQ(3-2). 簡易に指でストレスを計測するというものもあるようですが、この機器での測定もストレスチェックとして認められるのでしょうか。+
A法定のストレスチェックは、調査票を用いて、「職場のストレス要因」、「心身のストレス反応」、「周囲のサポート」の3つの領域に関する項目により検査を行い、労働者のストレスの程度を点数化して評価するものであり、機器による計測は、法に基づくストレスチェックには当たりません。
解説実務上のポイント:法定の要件と測定手法の厳格性
ストレスチェック制度において、指先等で計測する物理的な測定は、法的な検査とは認められません。法が求めるのは、仕事のストレス要因、心身の反応、周囲のサポートという3領域を網羅した調査票による評価です。ウェアラブル端末などの測定器は、あくまで従業員の自発的な健康管理を促す補完的なツールとして活用しましょう。義務を履行するためには、必ず指定の要件を満たす調査票を用いる体制を整えてください。
詳しくはストレスチェック義務化に関する記事内、「調査票に含めるべき3つの領域」をご参照ください。
QQ(3-3). ストレスチェックの調査票に、標準的な質問項目に加え、ストレスに関連する自由記述欄を設けてもよいでしょうか。+
A法定のストレスチェックは、調査票を用いて、「職場のストレス要因」、「心身のストレス反応」、「周囲のサポート」の3つの領域に関する項目により検査を行うもので、これらの3領域が網羅されているのであれば、標準的な項目以外に、独自に自問自答を設けることは差し支えありません。ただし、事業者が調査票を決定するに当たっては、実務者の意見の聴取、衛生委員会等での調査審議を行う必要があります。また、結果の提供に当たっては、当該自由記述欄の内容についても、ストレスチェックの結果と同様に、労働者の同意なく事業者に提供されることがないことに留意する必要があります。
解説実務上のポイント:自由記述欄の運用と情報管理の徹底
調査票に自由記述欄を設けることは、労働者の具体的な悩みを把握する手段として有効ですが、運用のハードルが上がります。自由記述の内容も法定の検査結果と同様、労働者の個別同意なく事業者に開示することはできません。実務上は、実施事務従事者が内容を確認し、同意の有無を適切に管理する体制を整える必要があります。また、緊急性の高い記述があった際の対応フローを、あらかじめ衛生委員会で決めておくことが重要です。
詳しくはストレスチェック義務化に関する記事内、「ストレス調査票に含めるべきでない項目」をご参照ください。
QQ(3-4). 国が標準として示す57項目に加えて、ストレスに関連する独自の項目を加えることは問題ないでしょうか。また、質問数を数百に増やしたり、数項目程度に絞っても問題ないでしょうか。+
A「職場のストレス要因」、「心身のストレス反応」、「周囲のサポート」の3つの領域が含まれていれば、項目を増やしたり減らしたりしても問題はありません。ただし、独自に項目を設定する場合は、一定の科学的根拠に基づいた上で、実施者の意見の聴取、衛生委員会等での調査審議を行う必要があります。なお、国が標準として示す57項目よりも少ない項目で実施する場合は、実施マニュアル(35ページ)に「職業性ストレス簡易調査票の簡略版」として23項目の例が掲載されているので参考にしていただきたいと思います。
解説実務上のポイント:項目の増減と科学的根拠の確保
独自の質問項目を設定・変更する際は、法で定められた3領域(ストレス要因・反応・サポート)が網羅されていることが大前提となります。項目数を増減させる場合、特に注意すべきは科学的根拠の確保です。恣意的な調整は正確な判定を妨げる恐れがあるため、実施者の専門的な意見を聴いた上で、必ず衛生委員会等での調査審議を経て決定しましょう。実務上は、厚生労働省が示す標準版や短縮版をベースに、自社の課題に合わせた最小限の調整に留めるのが現実的です。
詳しくはストレスチェック義務化に関する記事内、「調査票に含めるべき3つの領域」をご参照ください。
QQ(3-5). 労働者が、事業者の指定した実施者でない「かかりつけ医」で受検したいといった場合、ストレスチェックとみなしてよいのでしょうか。+
A健康診断と異なり、ストレスチェックについては、事業者が指定した実施者以外で受けるという手続きは規定されていません。このため、事業者が指定した実施者以外で受けた場合、ストレスチェックを実施したこととはなりません。
解説実務上のポイント:他院受診の不可と指定体制の遵守
一般健康診断では、自身の希望する医師で受診し結果を提出する「他院受診」が認められていますが、ストレスチェック制度にはその仕組みがありません。事業場単位での集団分析や、実施事務従事者による厳格な情報管理が必要なため、会社が指定した体制以外での受検は法的義務の履行とみなされません。実務担当者は、受検率向上を目指しつつも、社内で定めた実施方法以外の受検は認められない旨を事前に周知しておくことが肝要です。
詳しくはストレスチェック義務化に関する記事内、「ストレスチェックの義務化とは」をご参照ください。
QQ(3-6). ストレスチェックの数値評価を行い、これに加えて補足的に面談を行う場合は、その面談内容も守秘義務の対象となるのでしょうか。+
A補足的面談は法第66条の10の規定によるストレスチェックの実施の一環として位置づけられることから、その内容は労働者の同意なく事業者に提供することはできません。また、面談内容の情報は法第105条の守秘義務の対象となります。
解説実務上のポイント:補足的面談の法的性格と信頼確保
数値評価を補うための面談も、法に基づくストレスチェックの一連の工程として扱われます。そのため、面談で得た情報には非常に重い守秘義務が課せられ、本人の同意なしに事業者に開示することはできません。実務上は、外部相談窓口などを活用する場合でも、情報の取り扱いルールを契約や規定で明確にしておくことが不可欠です。また、心理職等の専門職であっても、従業員個人のストレスチェック結果に触れることとなるため、実施事務従事者に選任しておく等の対応が必要です。労働者が、話した内容が安易に会社へ伝わると不安を感じないよう、徹底した秘密保持体制を周知し、受検への安心感を醸成しましょう。
詳しくは、「高ストレス者を放置していませんか?面接指導勧奨実務や工夫のポイント」をご参照ください。
QQ(3-7). 長期出張や長期の病欠のために、ストレスチェックを受検できなかった者について、どのように取り扱うべきでしょうか。+
A業務上の都合やむを得ない理由でストレスチェックを受けることができなかった者に対しては、別途受検の機会を設ける必要があります。長期の病欠者については、ストレスチェックを実施しなくても差し支えありません。
解説実務上のポイント:未受検者への再機会提供と管理
実務上、受検期間中に不在だった労働者への対応は、安全配慮義務の観点から重要です。出張等の業務都合で未受検となった者には、帰任後に速やかに追試や個別受検の機会を案内しましょう。一方、休職中や長期欠勤者については、すでに治療中や療養中であることから実施義務の対象外とできますが、復職の際に別途面談等で状況を確認することが望ましいです。対象者の把握漏れがないよう、受検状況の進捗管理を徹底してください。なお、通常のストレスチェック期間外でも受検が可能かについては外部委託先への確認、また期間がで実施し、高ストレス者が発生した際に面接指導が可能かは実施者等産業医に予め確認しておくことが肝要です。
詳しくは、「【解説】ストレスチェック外部委託チェックリストによる委託先選定のポイント|Excelチェック表付き」をご参照ください。
QQ(3-8). 産業医に依頼をせずにストレスチェックを年1回実施しており、それとは別に他社に独自にストレスチェックの委託をしていて、これについては毎年実施してきている場合、この会社の規定に基づいて行っていればよいのでしょうか。また、監督署への報告は必要でしょうか。+
A会社独自に実施するストレスチェックについても、それらが労働安全衛生法のストレスチェックの要件に該当する規定である場合、個人情報の取扱い、実施者の範囲等を含め、法令に即して対応していただく必要があり、不備があった場合は、法違反という扱いになります。一方、労働基準監督署への報告については、法に基づくストレスチェックについて年1回報告していただければ足りますので、独自に実施している分については報告いただかなくて差し支えありません。
解説実務上のポイント:法定要件の遵守と報告の整理
独自に実施する検査を法定義務の履行とみなす場合、実施者の資格や情報の取り扱いなど、全ての法的要件を満たしている必要があります。要件に不備があると法違反となるリスクがあるため注意しましょう。労基署への報告は、年に1回、法に基づいた実施分を提出すれば足ります。実務上は、どの検査を労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度(法定)のものとするか明確に定め、その回が指針を完全に遵守しているか厳格にチェックする体制を整えることが肝要です。
詳しくはストレスチェック義務化に関する記事をご参照ください。
QQ(3-9). 労働安全衛生法に基づくストレスチェックは年1回必ず実施しており、それとは別に要望に基づく健康診断の問診としてCES-Dを実施し、その結果は本人の同意を取らずに企業が把握していますが、法的に問題がありますか。+
ACES-Dは、今回のストレスチェック定義に基づけば、ストレスの要因や周囲のサポートに関する質問項目を含むものではないので、企業で実施することに法的な制約はかかりませんが、ストレスチェック制度では、個人のストレスの状況を本人の同意なく企業側に知られないようにするための制限を設けていることを踏まえれば、健康診断の中でCES-Dを実施し、本人の同意を取らずにその結果を企業が把握することは望ましくはありません。実施する場合は、今回のストレスチェック制度に準じて、結果を企業側に提供する場合は本人の同意を取る等の対応が望ましいです。
解説実務上のポイント:情報の機微性と運用ルールの統一
CES-Dなどの心理尺度を健診問診で用いる際、法的なストレスチェックと別枠であれば、直ちに違法とはなりません。しかし、ストレスチェック制度の根幹である「本人の同意なく結果を事業者に提供しない」という原則に鑑みると、無断での把握は従業員の不信感を招く恐れがあります。実務上は、情報の機微性を考慮し、健診内での実施であっても本人同意を得る運用に統一することが、労使の信頼関係維持とトラブル防止に繋がります。
QQ(3-10). インターネットなどで、無料で受けることができるメンタルヘルスに関するチェックを社員に受けてもらうことで、労働安全衛生法に基づくストレスチェックを実施したものとみなしてよいでしょうか。+
Aインターネット上などで、無料で受けることができるメンタルヘルスに関するチェックは、一般的に受検者が入力した情報をシステムが自動集計し、結果を自動表示するものと考えられますので、ストレスチェック結果を実施者が確認し、面接指導が必要かどうかを判断すること等、労働安全衛生法令に規定する方法で実施することができないため、労働安全衛生法に基づくストレスチェックを実施したものとみなすことはできません。
解説実務上のポイント:法定要件とプログラム等による自動判定
インターネット上の無料チェックは個人の気づきを促すツールに過ぎず、医師や保健師等の実施者が判定に関与しないため、法定義務の履行とは認められません。実務上は、実施者が個々の結果を確認し、面接指導の必要性を判断する人的なプロセスが不可欠です。システムを選定する際は、単なる自動表示ではなく、専門職による判定支援機能や、情報の機微性に応じたセキュリティが備わっているかを、担当者として必ず確認してください。なお、システムや外部委託先の選定責任についても、ストレスチェック制度の義務主体である事業者が負うこととなることに十分な注意が必要です。
QQ(4-1). 高ストレス者の選定基準について具体的な数値は示すのでしょうか。また、事業場における選定基準の設定の仕方として上位○%が入るように、といった目安は示すのでしょうか。+
Aストレスチェック制度実施マニュアルに、職業性ストレス簡易調査票を使用した20万人のデータから、57項目及びその簡略版23項目について、高ストレス者が10%と なるようにする場合の具体的な数値基準の例を示しています。ただし、各事業場における数値基準は衛生委員会等で調査審議の上で事業場毎に決めていただく必要があり、一律に目安を示すものではありません。
解説実務上のポイント:自社に最適な選定基準の設定
高ストレス者の選定基準は、厚生労働省のマニュアルで上位10パーセント程度を一つの目安として数値が示されています。しかし、これはあくまで参考値であり、最終的には各事業場の衛生委員会等で、過去の傾向や産業医の意見を踏まえて独自に決定する必要があります。実務担当者は、基準を厳しくしすぎて面接指導対象者が過多になったり、逆に緩すぎて不調者を見逃したりしないよう、定期的な基準の見直しと妥当性の検証を行うことが重要です。
詳しくは、ストレスチェック義務化に関する記事内、「高ストレス者判定基準となる2つの評価方法」をご参照ください。
QQ(4-2). 高ストレス者の選定基準については、事業場内で同一のものを使用すべきなのでしょうか。それとも職種や事務職と技術職といったような職種毎に基準を設定してもかまわないのでしょうか。+
A高ストレス者の選定基準を、職種毎に独自に設定することは差し支えありません。ただし、選定基準については、各事業場の衛生委員会等で調査審議した上で決定する必要があります。
解説実務上のポイント:職種に応じた基準設定の考え方とは
職種によって業務負荷の性質が異なるため、実務上、事務職と技術職などで判定基準を分けることは有効なアプローチです。ただし、恣意的な基準変更は公平性を欠く恐れがあるため、産業医等の専門的な見地に基づき、客観的な根拠を持って設定する必要があります。基準を細分化する場合は、運用の複雑化を避けつつ、各事業場の衛生委員会等で十分に調査審議を行い、決定プロセスを明確にしておくことが重要です。
詳しくは、ストレスチェック義務化に関する記事内、「高ストレス者判定基準となる2つの評価方法」をご参照ください。
QQ(4-3). 高ストレス者の選定は、「心身の自覚症状に関する項目の評価点数の合計が高い者」又は「心身の自覚症状に関する項目の評価点数の合計が一定以上であって、心理的な負担の原因に関する項目及び他の労働者による支援に関する項目の評価点数の合計が著しく高い者」の要件を満たす者となっていますが、このどちらかを選べばよいのでしょうか。それとも両方を選ぶ必要があるのでしょうか。+
A両方選んでいただく必要があります。心身の自覚症状に関する項目の評価点数の合計が高い者はもちろんですが、心身の自覚症状についての評価点数がそれほど高くなくても、心理的な負担の要因や周囲の支援の評価点数が著しく高い場合は、メンタルヘルス不調のリスクが高いため、高ストレス者と評価し、必要な対応につなげていた だく必要があります。
解説実務上のポイント:高ストレス者判定における2つの基準の併用
高ストレス者の判定では、自覚症状が強い人だけでなく、症状が一定レベルであってもストレス原因や周囲のサポート状況が著しく悪い人を漏らさず選定する必要があります。実務上、自覚症状のみで判定すると、本人が無自覚なリスクを見落とす可能性があるため、必ず両方の基準を組み合わせて判定を行う体制を整えましょう。この判定ロジックはあらかじめ衛生委員会で審議し、実施規定に明記しておくことが重要です。
詳しくは、ストレスチェック義務化に関する記事内、「高ストレス者の選定ポイント」をご参照ください。
QQ(5-1). 事業者が行う受検勧奨について、安全配慮義務の観点からどのくらいの頻度・程度で受検勧奨するのが妥当なのでしょうか。+
A受検勧奨の妥当な程度はそれぞれの企業の状況によっても異なると考えられます。その方法、頻度などについては、衛生委員会等で調査審議をしていただいて決めていただきたいと思います。ただし、例えば就業規則で受検を義務付け、受検しない労働者に懲戒処分を行うような、受検を強要するようなことは行ってはいけません。
解説実務上のポイント:受検勧奨の進め方とルール化と周知
受検勧奨は、画一的な基準ではなく各社の実情に合わせて衛生委員会でルールを定めるべき事項です。毎年、ストレスチェックを受検しない従業員への個別説明や受験勧奨も、本人のセルフケア向上や企業にとっては安全配慮義務の観点から有効な手段となり得ます。実務上は、勧奨が強制や不利益取り扱いと受け取られないよう、ストレスチェック規程等に「受検の促進措置」として手続きを明文化し、公平性を担保することが重要です。受検率向上のための働きかけと、個人のプライバシー保護のバランスには十分留意しましょう。
参考リンク:
ストレスチェックによる不利益取り扱いの禁止|運用と実務上の留意点
ストレスチェックの受検勧奨|未受検者への勧奨ルールと不利益取扱いを防ぐポイント
QQ(5-2). 受検率が低い場合、これを理由として労働基準監督署から指導されるといったことがあるのでしょうか。+
A労働安全衛生規則の報告義務は、ストレスチェック制度の実施状況を把握するためのものであり、実施率や受検率が低いことをもって指導することは考えていません。
解説実務上のポイント:受検率と報告義務の関係
労基署への報告は制度の実施状況を把握するためのものであり、受検率の低さのみを理由に行政指導が行われることはありません。ただし、希望する全労働者に受検機会を適切に提供していない場合は、実施義務違反を指摘される可能性があります。実務上は、受検率という数値に固執するのではなく、労働者がプライバシー保護や不利益取り扱いへの懸念を持たず、従業員のメンタルヘルス一次予防を念頭に、安心して受検できる環境を整えるための継続的な改善が重要です。
詳しくは、「ストレスチェックの受検勧奨|未受検者への勧奨ルールと不利益取扱いを防ぐポイント」をご参照ください。
QQ(5-3). 個々の労働者のストレスチェックの受検の有無の情報について、受検勧奨に使用する途中の段階のものではなく、最終的な情報(誰が最終的に受けなかったのかという情報)を事業者に提供して良いのでしょうか。+
Aストレスチェックの受検の有無の情報については、個人情報という取扱いにはなりませんので、事業者に提供することは可能です。ただし、どのような目的で最終的な受検の有無の状況を事業者に提供するのか、不利益な取扱いにつながらないようにすることなどについては、衛生委員会等で調査審議を行い、社内のルールとして決めておいていただくことが望ましいです。
解説実務上のポイント:受検有無情報の取り扱いと不利益取り扱いの防止
ストレスチェックの受検の有無(誰が受けたか・受けていないか)という情報は、ストレスの程度といった機微な個人情報には該当しないため、事業者が把握すること自体はルール上可能です。しかし、この情報を人事評価や不利益な扱いに繋げることは厳格に禁止されています。実務上は、情報の把握目的を未受検者への再度の勧奨や制度改善のための分析に限定することを、衛生委員会等であらかじめ確認し、社内ルールとして明文化しておくことがトラブル防止と受検者の安心感に繋がります。また、受検率の低い部署の管理監督者を𠮟責することで、結局のところ配下の従業員に受検を強いる事態となるといったことも避ける必要があります。
詳しくは、「ストレスチェックによる不利益取り扱いの禁止|運用と実務上の留意点」をご参照ください。
QQ(6-1). ストレスチェックを外部委託し、事業所の産業医は個々人の結果を把握するために、共同実施者となる予定ですが、どの程度関与していれば共同実施者といえるのでしょうか。+
A少なくとも、事業者が調査票や高ストレス選定基準を定めるに当たって意見を述べること、ストレスチェックの結果に基づく個人の面接指導の要否を確認することが必要です。
解説実務上のポイント:共同実施者の役割と責任範囲
ストレスチェックの外部委託を行い、実施者が外部機関の医師等が担い、事業者の産業医などが共同実施者となる場合でも、形式的な選任だけでなく実質的な関与が求められます。具体的には、調査票の選定や高ストレス者の判定基準の策定に対して専門的見地から意見を述べること、そして個々の結果に基づき面接指導の要否を最終的に判定することが必須の職務となります。実務上は、ストレスチェック委託先任せにせず、これらのプロセスに適切に関与できる体制を整え、役割分担を明確にしておくことが制度の信頼性確保に繋がります。
詳しくは、下記の記事をご参照ください。
ストレスチェック実施者とは?役割・選定基準や実務を詳しく解説 / ストレスチェック実施事務従事者とは?役割や実務のポイント
QQ(6-2). 歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師が、実施者となるための研修はいつどこで受講できるのでしょうか。+
A研修の開催状況については、その都度、厚生労働省のホームページ等に掲載されておりますのでご確認ください。なお、掲載内容については、厚生労働省に提供がありました情報を基にしており、すべての研修を網羅しているわけではありませんのでご留意ください。
解説実務上のポイント:実施者研修の受講と情報の確認
歯科医師や看護師等が実施者になるための研修は、厚生労働省のホームページ等に掲載される情報を基に、各実施機関で受講します。全ての研修が網羅されているわけではないため、地域の産業保健総合支援センター等の情報も確認し、計画的に受講機会を確保することが重要です。修了後は修了証の写しを保管するなど、実施者としての要件を満たしていることを客観的に証明できる体制を整えておくと、監査等の際もスムーズに対応できます。
詳しくは、「ストレスチェック実施者とは?役割・選定基準や実務を詳しく解説」をご参照ください。
QQ(6-3). 歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師を対象とした研修については、誰が実施してもよいのでしょうか。例えば事業者が実施してもよいのでしょうか。+
A告示及び通達で定められた研修の内容、講師等の要件を満たしていれば、誰が実施しても差し支えありません。
解説実務上のポイント:実施者研修の主催要件と信頼性の確認
実施者研修の主催者は国に限定されず、厚生労働省が定めるカリキュラムや講師の要件を満たしていれば、民間団体や職能団体などが実施しても差し支えありません。実務担当者が実施者候補に研修受講を依頼する際は、その研修が法定要件を充足しているか、修了証が適切に発行されるかを事前に確認することが重要です。また、実施者の資格要件を証明する書類として、免許証の写しと併せて研修修了証をセットで管理しておくと、体制の不備を防ぐことができます。
QQ(6-4). 部下に対する人事権を有する産業医は、ストレスチェックの実施者になれないのでしょうか。+
A省令に規定されているとおり、人事権を有する者については、その人事権に係る労働者に対するストレスチェックの実施者にはなれません。そのため、例えば、産業医に部下がいて、その部下に係る人事権を有する場合には、その人事権が及ぶ範囲の部下に対するストレスチェックを実施することはできませんが、当該部下以外の労働者(その者が有する人事権とは関係のない労働者)に対するストレスチェックの実施者になることは可能です。
解説実務上のポイント:人事権を持つ者の実施制限
ストレスチェックの結果が人事評価や処遇に不当に利用されることを防ぐため、対象者に対して解雇、昇進、異動などの人事決定権を持つ者は実施者等になれません。例えば、部下を持つ産業医は、自身の部下に対しては実施者になれませんが、権限のない他部署の社員に対しては担当可能です。情報の機微性と公平性を担保するため、実施体制を組む際は組織図に基づき利益相反がないか厳格に確認する必要があります。
詳しくは、「ストレスチェック実施者とは?役割・選定基準や実務を詳しく解説」をご参照ください。
QQ(6-5). 病院長がストレスチェックの実施者となることや、面接指導を実施することは可能でしょうか。なれない場合は、誰が実施すればよろしいのでしょうか。+
A病院長は一般的に人事権を持っていると考えられるので、ストレスチェックの実施者にはなれません。このため、人事権を持っていない、他の医師や保健師、一定の研修を受けた歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師から実施者を選ぶことになります。一方、面接指導の実施については医師であれば制限はしていません。ただし、病院長が面接指導の実施者になることにより、労働者が申出を躊躇したり、適切な事後措置がなされないおそれがあるような場合には、制度の趣旨に合致しないこととなるので、適切な運用がなされるように面接指導を実施する医師を選定していただきたいと思います。
解説実務上のポイント:医療機関等における実施体制の構築と利益相反
自院の歯科医師や看護師等(研修修了者)を実施者にすることは可能ですが、対象者への人事権を持たないことが条件です。注意点は「実施者」と「面接指導」の役割の違いです。面接指導は医師免許が必須であり、歯科医師等は行えません。また、院長が面接を行う際、直接の人事権を持つ部下に対しては情報の取り扱い等に制限が生じるため、中立性を保てるよう外部委託や別部門の医師の活用を検討しましょう。
QQ(6-6). 看護師や精神保健福祉士が、研修を受けなくてもストレスチェックの実施者となれる健康管理等の業務の経験年数三年について、例えば健診機関や病院で企業健診に関わっているような場合や、特定保健指導のみに従事しているような場合も経験年数に含まれるのでしょうか。+
A三年以上企業健診に従事した者であれば、原則として労働者の健康管理等の業務に従事したと見なせますので、研修を受けなくてもストレスチェックの実施者となることは可能です。ただし、企業検診に従事したといっても、例えば問診票の点検や採血業務だけ担当していたなど、従事した業務が一般的な健康管理と違いのない業務に限定され、労働者の健康管理についての知識を得る機会がないとみなされる場合は、労働者の健康管理等の業務に従事したとはいえないため、業務内容によっては該当しない場合もありますのでご留意が必要です。判断に迷う場合は、最寄りの労働基準監督署にご相談下さい。なお、住民検診に関する業務は労働者の健康管理等には該当しません。また、労働者の健康管理等の業務には、労働者に対する保健指導も含まれますので、三年以上労働者に対する特定保健指導に従事した看護師であれば、原則として労働者の健康管理等の業務に従事したと見なせますので、研修を受けなくてもストレスチェックの実施者となることは可能です。
解説実務上のポイント:実施者の資格要件における実務経験の判断
看護師等が研修なしで実施者となるための「3年以上の健康管理業務」には、企業健診業務や特定保健指導が該当します。ただし、単なる事務作業等は対象外となる恐れがあるため、要件を満たすか不明確な場合は所轄の労働基準監督署に確認し、実施者としての適格性を事前に担保しておくことが実務上のリスク回避に繋がります。
QQ(6-7). 歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師が、実施者となるための研修の科目のうち「事業場におけるメンタルヘルス対策」には、自殺対策も含まれているのでしょうか。+
A事業場におけるメンタルヘルス対策には、ストレスチェック制度の活用や職場環境等の改善を通じて、メンタルヘルス不調を未然に防止する「一次予防」、メンタルヘルス不調を早期に発見し、適切な措置を行う「二次予防」、メンタルヘルス不調となった労働者の職場復帰を支援等を行う「三次予防」が含まれますが、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(平成18年3月31日 労働者の健康の保持増進のための指針公示第3号)では、「メンタルヘルス不調」の定義として「精神および行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活および生活の質に影響を与える可能性のある精神的および行動上の問題を幅広く含むものをいう」とされており、「自殺」も含まれていますので、実施者となるための研修科目の「事業場におけるメンタルヘルス対策」には自殺対策も含まれています。
解説実務上のポイント:メンタルヘルス対策の広範な定義と予防の3段階
研修で扱う対策には、不調の未然防止(一次)、早期発見(二次)、職場復帰支援(三次)の3段階が含まれます。メンタルヘルス不調の定義は精神疾患だけでなく、強いストレスや社会生活への影響、さらには自殺対策まで幅広く網羅されています。実務上、実施者は単なる検査の判定に留まらず、これら包括的な予防体系を理解した上で、労働者の生命と健康を守る視点を持って制度運用に関わることが求められます。
QQ(7-1). 外部機関に委託した場合で、ストレスチェックの労働者の回答に不備があった場合、外部機関が当該労働者に直接送り返して書き直してもらうということはあり得るのでしょうか。+
Aストレスチェックの回答に不備があれば適宜やりとりしていただくことはあり得ます。ただし、回答を本人以外の人に見られないようにするなど情報管理には留意する必要があります。
解説実務上のポイント:外部機関のストレスチェック仕様の確認
ストレスチェックの設問に重複回答や無回答が生じると、正しくストレスの程度を把握することが困難となることが一般的で、即ち、高ストレス者判定もできません。ストレスチェックを外部機関に委託する場合は、パンチングやOCRによる回答読み取りの結果、ストレスの程度を正しく評価できない場合は、差し戻しや再提出が可能かなど、ストレスチェックサービスの仕様を予め確認しておくことが重要です。また、返送時や再提出時にプライバシー保護が担保される方法で送達されるかも合わせて確認をしておきましょう。
参考リンク:【解説】ストレスチェック外部委託チェックリストによる委託先選定のポイント|Excelチェック表付き
QQ(7-2). 外部機関に委託して実施する場合、ストレスチェック結果は労働者の自宅あてに送付することになるのでしょうか。+
A自宅に送付する方法もありますが、個人ごとに、容易に内容を見られない形で封をしたものを事業場に送付して、それを事業場内で各労働者に配布することも可能です。
解説実務上のポイント:結果通知の配送方法と秘匿性の確保
外部委託の場合、結果の通知方法は労働者の自宅への直接郵送のほか、社内で開封できないよう封緘された状態で配布する方法も認められます。実務上は、家族であっても本人の意思なく見られない方法を取られているかといった従業員への配慮や、社内配布時の誤配リスクを考慮して選択します。いずれの手法でも、本人の同意なく事業者や第三者に内容が漏洩しないよう、実施事務従事者が責任を持って配送・配布プロセスを厳重に管理することが不可欠です。
参考リンク:会社はどこまでストレスチェック結果を知れる?プライバシー保護や情報の取扱いのポイント
QQ(7-3). ストレスチェックの結果として、①ストレスプロフィールなど、②高ストレス者への該当の有無、③面接指導の要否を、セットで労働者に通知しなければならないのでしょうか。+
Aまずは全員にストレスプロフィールなどを伝えて、②及び③の該当者について後日通知してもかまいません。ただし、高ストレス者に該当する者にだけ通知の封筒が届くなど他の人が該当者を類推できるような方法で通知しないよう配慮が必要です。
解説実務上のポイント:結果通知の構成と個別の配慮
ストレスププロフィールや面接指導の要否などの情報は、一括して本人に通知することが可能です。実務上、受検者が自身の状態を総合的に把握できるよう、これらをセットで提供することは有効な手段となります。ただし、高ストレス者への通知は非常にデリケートな内容を含むため、封緘の徹底などプライバシーを厳守するとともに、本人がショックや不安を感じて不利益な状況に陥らないよう、文面や伝達方法に十分な配慮が必要です。
参考リンク:ストレスチェック結果|見方を知ってあなたのセルフケアにつなげるきっかけに
QQ(8-1). ストレスチェック結果については、全労働者の結果を事業者へ情報開示しないということを事業場で取り決めてもよいのでしょうか。+
A事業場の衛生委員会等で調査審議を行った上で、事業者は個々人のストレスチェック結果を把握しないこととすることは可能です。この場合は労働者の同意を得る手続きは省略することができます。
解説実務上のポイント:事業者による結果把握の見送りと同意手続きの簡略化
安全委員会や衛生委員会等でのストレスチェック調査審議を経て「事業者は個人の結果を一切把握しない」とルール化することは可能です。この運用を選択した場合、本来必要な本人同意取得の手続きを省略できるため、実務効率が向上し、労働者の心理的抵抗も軽減されます。ただし、高ストレス者への面接指導や職場環境改善といった本来の目的を果たすため、実施者から事業者へ集団分析結果や面接指導対象者の状況が適切に伝わる仕組みは維持する必要があります。ストレスチェック期間終了後も、例えば高ストレス者だったが面接指導を申し出なかった従業員に対して、人事や労務、産業保健部門から定期的な連絡をケアを行いたいといった場合には、このストレスチェック結果の事業者への結果提供に係る同意取得は非常に有効な取り組みだといえます。
参考リンク:高ストレス者を放置していませんか?面接指導勧奨実務や工夫のポイント
QQ(8-2). 同意取得はストレスチェック結果の通知後ということですが、結果通知に同意確認書類を同封してもよいのでしょうか。+
A労働者本人が結果を見て同意するかどうか判断できるので、通知時に同封することは可能です。
解説実務上のポイント:結果通知時の同意取得と手続きの工夫
労働者が自分の結果を確認した上で判断できるよう、結果通知に同意書を同封する手法は実務上も効率的で推奨されます。大切なのは「結果を見る前の事前同意」にならないことです。紙運用の場合は返信用封筒を添える、WEB運用の場合は結果表示後に同意ボタンを配置するなど、本人が内容を把握してから意思表示できる動線を設計しましょう。安易な同意取得ではなく、情報の重要性を理解してもらう工夫が制度の信頼性を高めます。
QQ(8-3). 高ストレス者について事業者への結果提供の同意がなく、実施者のみが結果を保有している場合に、面接指導以外の保健指導等を行わなければならないのでしょうか。+
A法的には保健指導等の実施が義務づけられているものではありませんが、高ストレスの状態で放置されないように相談対応等を行うことが望ましいと考えています。
解説実務上のポイント:結果提供の同意が得られない高ストレス者へのフォロー
事業者に結果が提供されない場合でも、実施者(産業医等)は高ストレス状態の放置を防ぐための努力が求められます。法的な保健指導の実施義務までは課されていませんが、本人の健康を守る観点から、プライバシー保護に留意しつつ、面接指導のメリットを再提示して申し出を促したり、相談窓口の情報を改めて提供したりすることが望ましいです。実務上は、実施者が個別にアプローチできる仕組みを運用規定に盛り込み、不調の未然防止に努めましょう。
参考リンク:安全配慮義務とは?企業が守るべき基本と具体的な対策を解説
QQ(8-4). 本人が退職した後に、当該者のストレスチェック結果について、提供してほしいという要求が事業者から実施者にあった場合、その結果は本人同意を取らずに提供してよいでしょうか。+
A本人が退職した後も、個人情報としての取扱いは変わりませんので、実施者が事業者に提供する場合には、本人の同意を取っていただく必要があります。
解説実務上のポイント:退職者の結果提供と個人情報保護
労働者が退職した後であっても、ストレスチェック結果は個人情報として厳格に保護されます。事業者が過去の結果を必要とした場合、実施者が本人の同意なく情報を提供することはできません。実務上は、退職者本人に改めて連絡を取り、同意を得る手続きを確実に行う必要があります。退職によって情報の取り扱いルールが緩和されることはないため、在職時と同様、プライバシー保護を最優先にした運用を徹底してください。
参考リンク:ストレスチェック結果の取り扱い|結果の通知と保存、個人情報保護の運用ポイント
QQ(9-1). ストレスチェック実施を外部機関に委託した場合、本人への面接指導の勧奨は外部機関からなのか、嘱託の産業医からなのかどちらなのでしょうか。+
A面接指導の勧奨は、ストレスチェックの実施者が行うことが望ましいです。このため、嘱託産業医がストレスチェックの共同実施者でない場合は、外部機関の実施者が本人に勧奨することになりますが、嘱託産業医が共同実施者である場合は、嘱託産業医が勧奨することが望ましいです。具体的な勧奨の方法等については、衛生委員会等で調査審議の上で事業場ごとに決めていただきたいと思います。
解説実務上のポイント:面接指導勧奨の主体と役割分担の明確化
面接指導の勧奨は、原則としてストレスチェック実施者が行うべき業務です。外部委託先が実施者であれば委託先から、社内の産業医が共同実施者であれば産業医から通知を行うのが望ましいという運用です。実務上は、誰がどのような方法で勧奨を行うかを衛生委員会で事前に審議し、実施規定に定めておくべきと考えられます。労働者が不安を感じず、必要な支援を受けやすい環境を整えることが制度運用の鍵となります。
参考リンク:ストレスチェック面接指導|高ストレス者ケアの重要性と企業の役割
QQ(9-2). 面接指導の実施率が低い場合、これを理由として労働基準監督署から指導されるといったことがあるのでしょうか。+
A労働基準監督署への報告は、ストレスチェック制度の実施状況を把握するためのものであり、また、面接指導は労働者からの申出に基づいて実施するものであるため、面接指導の実施率が低いことについて指導することは考えていません。
解説実務上のポイント:面接指導の実施率と行政指導の考え方
面接指導は労働者の自主的な申し出を前提とするため、実施率の低さのみを理由に行政指導が行われることはありません。ただし、制度の運用体制そのものに不備がある場合(通知漏れや勧奨の欠如など)は、改善を求められる可能性があります。実務上は、受検者が「相談しても不利益を被らない」と確信できる環境作りが最も重要です。形式的な実施報告に終わらせず、申し出を躊躇させる要因が社内にないか、定期的に点検する姿勢を持ちましょう。
参考リンク:ストレスチェック面接指導|高ストレス者ケアの重要性と企業の役割
QQ(10-1). ストレスチェック結果の保存をストレスチェックを実施した外部機関に委託する場合、毎年委託先を変更する時は、記録の保存場所が毎年異なることになるのでしょうか。+
A外部機関の委託先が変われば、それぞれの外部機関が実施した分のストレスチェック結果をそれぞれの機関で保存することになります。なお、外部委託した場合でも事業場の産業医が共同実施者になっていれば、その産業医が保存することも可能であり、また、その産業医のほかに実施事務従事者がいれば、その者が保存することも可能です。このため、産業医や実施事務従事者(事業場内の衛生管理者など)に保存をさせることとして、各事業場において毎年の結果の記録を保存することも可能です。
解説実務上のポイント:委託先変更時の記録保存と管理責任
ストレスチェック結果の保存を外部機関に委託している場合、委託先が変更になると、それぞれの機関が担当した年度の記録を各々で保存することになります。実務上は、委託先が変わるたびに「どの年度のデータがどこに保管されているか」を台帳等で管理し、保存期間である5年間を確実にトレースできる体制を整えましょう。または、旧委託先からデータや記録を預かり、新委託先のシステムへインポートできるのかといった確認も有効です。なお、契約終了後も適切な保存や、期間経過後の確実な廃棄が行われるよう、委託先との契約条項を改めて確認しておくことが重要です。
QQ(10-2). ストレスチェック結果の保存を担当する者が交代する場合、過去のストレスチェック結果を引き継ぐことはできるのでしょうか。+
Aストレスチェック結果の保存を担当する者が変更になる場合、過去のストレスチェック結果を引き継ぐことは可能です。事業者には、ストレスチェックの結果の記録の保存が適切に行われるよう、必要な措置を講じる義務があります。したがって、保存を担当する者が変更された場合も、保存が適切に継続されるような対応が法令上求められており、その中には、保存を担当する者の指名や、保存を担当する者を変更した場合の結果の引き継ぎも含まれます。したがって、保存を担当する者の変更に伴い、事業者の指示に基づき、これまでの保存担当者が、新たに指名された保存担当者に過去のストレスチェック結果を提供する行為は、労働安全衛生規則第52条の11で義務付けられている行為を遂行するために必要な行為であり、個人情報保護法第23条の適用は受けず、安衛法第104条に抵触もせず、本人同意を取得する必要はありません。
解説実務上のポイント:ストレスチェック結果の保存担当者の交代と引き継ぎ
ストレスチェックの結果保存を担当する実施事務従事者等が交代する場合、過去の記録を適切に引き継ぐことは可能です。ただし、記録には機微な個人情報が含まれるため、引き継ぎの際も情報の秘匿性を厳守し、新たな担当者が「実施事務従事者」として守秘義務を負うことを明確にしなければなりません。実務上は、引き継ぎの手順や対象範囲を運用規定に定めておき、情報の散逸や不適切な閲覧が発生しないよう厳重に管理することが求められます。
参考リンク:【解説】初めてストレスチェックを担当する方へのガイドライン|業務手順をフロー図で解説
Q(Q11-1). 高ストレス者の選定に関して、プログラムの自動判定結果で高ストレスと出た場合は、医師の判断を経ずに面接指導の対象者としても良いのでしょうか。実施者の判断があったかどうかを残しておく必要があるのでしょうか。+
A高ストレス者の判定は自動的に行ってもよいですが、面接指導が必要かどうかは改めて実施者の判断が求められます。その際には、実施者が判断したことが分かる記録を残しておくことが望ましいです。
解説実務上のポイント:高ストレス者自動判定はOKだが、実施者による面接指導要否判定は必要
ストレスチェックシステムやプログラムを用いたストレスチェックでは、受検や結果通知(画面表示)といった運用が紙に比べて簡便となる一方、上記にあるように、実施者によるストレスチェック結果の確認方法や手順には留意が必要です。高ストレス者の判定により、「あなたは高ストレス者に該当しました」と自動的に表示することは問題ない一方、実施者が必ず自身で面接指導の要否判定を行い、その記録を残しておく必要があることに留意が必要です。特に、ストレスチェックや実施者を外部委託する場合、どのように実施者の確認や記録保存が行われているかを必ず確認しましょう。
参考リンク:高ストレス者への医師による面接指導|手順と実務のポイントを解説
Q(Q11-2). ストレスチェックでは面接指導対象者と選定されなかった労働者が面接指導を申し出た場合、どうすればよいのでしょうか。+
A面接指導を実施する対象者としての要件に該当しなかった労働者から申出があった場合は、法令上、事業者に面接指導を行う義務はありません。その場合に面接指導を実施するか否かについては、事業場ごとに取扱いを定めて対応していただきたいと思います。
解説実務上のポイント:非面接指導対象者から面接指導希望があった場合は一般の健康相談を実施
面接指導対象者でない従業員から面接指導の申し出がある可能性は0ではありません。この場合、一般的には産業医の職場巡視後に、一般の健康相談の時間を設けるといった方法が取られています。単に、法令上実施しないことになっている、という説明だけではなく、相談をしたい背景の確認や健康相談の機会を設けるよう努めましょう。なお、このような場合、健康相談の結果、何らかの配慮や措置が必要となることを想定し、当該従業員から結果提供同意書を取り付けておくとより安心でしょう。
参考リンク:産業医との付き合い方|職場の健康管理をスムーズに進めるポイント
QQ(11-3). 事業場の規程として、数値基準により高ストレスと判定された者については、全員面接指導の対象者とすると決めていたとすれば、システムでストレスチェックを実施し、その結果が高ストレス者に該当するかどうか、面接指導の対象者かどうかを瞬時に出力し、それをもって結果の通知まで終了したとすることは可能でしょうか。+
AQ11-1の回答と同様に、高ストレス者の判定は自動的に行ってもよいですが、面接指導が必要かどうかは、実施者が確認・判断しない限り、ストレスチェックを実施したことにはなりません。したがって、例えば、高ストレス者と判定された者を、実施者の確認・判断を経ることなく、面接指導の対象者として決定し、本人に通知するといったルールを定めたり、そうした処理を自動的に行うプログラムを用いてストレスチェックを実施することは不適当です。
解説実務上のポイント:高ストレス判定の自動化と実施者の判断義務
高ストレス判定のロジックをシステムで自動化すること自体は認められていますが、最終的に「面接指導が必要か」を判断するのは実施者の重要な責任です。個別の状況を専門家が確認せず、プログラムのみで機械的に面接対象者を決定・通知する運用は、専門的判断を欠くものとして不適当とされています。実務上は、自動判定の結果を実施者が必ずレビューし、その責任において結果を確定させるプロセスを制度に組み込むことが不可欠です。
参考リンク:ストレスチェック実施者とは?役割・選定基準や実務を詳しく解説
QQ(12-1). ストレスチェックの実施と面接指導の実施を、別の者が実施することもあり得るのでしょうか。+
A解説実務上のポイント:実施者と面接指導担当医師が分かれる際の運用
ストレスチェック制度上、ストレスチェックの「実施者」と「面接指導を行う医師」を別々の者が担当することは可能です。実際、外部機関を実施者とし、面接指導は自社の産業医が担うといった分業は一般的です。実務上は、面接指導医がチェック結果や労働環境を正しく理解した上で助言できるよう、情報の連携フローをあらかじめ定めておくことが重要です。それぞれの専門性を活かし、円滑な事後措置につなげる体制を整えましょう。
参考リンク:ストレスチェック義務化ガイドライン
QQ(12-2). 面接指導対象者は、実務者の判断で、高ストレス者の中から、実務者が判断して絞り込むということになるのでしょうか。+
A面接指導の対象者は、事業場で定めた選定基準に基づいて選定した高ストレス者について、実施者が判断していただくことになりますので、例えば、補足的に面談を行った場合などについては、その面談結果を参考にして実施者が絞り込む場合があり得ますし、高ストレス者全員をその評価結果を実施者が確認の上で面接指導対象者とする場合もあり得ます。
解説実務上のポイント:面接指導対象者の選定基準と実施者の役割
高ストレス者を判定する基準はあらかじめ衛生委員会等で審議し、事業場で定めた客観的な基準に基づく必要があります。なお、実施者や実施事務従事者の心理職が補足的な面談を行い、その結果を加味して専門的に判断することは可能ですが、恣意的な判断や不適切な理由で対象者を絞ることは認められません。高ストレス基準に該当する従業員のうち、実施者が面接指導対象者として選定した従業員が適切に通知を受けられるよう、公平で透明性の高い選定プロセスを維持することが実務上重要です。
参考リンク:ストレスチェック義務化ガイドライン
QQ(12-3). 法第66条の8、第66条の8の2、第66条の8の4に基づく長時間労働による面接指導と法第66条の10に基づくストレスチェック結果による面接指導と、両方の要件に該当して申出があった場合、面接指導は同時に実施していいのでしょうか。+
A過重労働の面接指導と実施時期が重なるということであれば、兼ねていただいても問題ありません。過重労働の中で確認すべき事項と、高ストレスの中で確認すべき事項と両方確認していただければ、面接指導は1回で差し支えありません。ただし、結果の記録や意見書には、両方の確認事項が記載されていることが必要です。なお、法第66条の10に基づく面接指導の実施状況については、労働基準監督署への報告の必要がありますので、ご留意下さい。
解説実務上のポイント:長時間労働者面接と高ストレス者面接の同時実施
長時間労働者への面接指導と高ストレス者への面接指導は、根拠法や目的が異なるため性質が異なりますが、実務上、一つの面接機会で両方の確認事項を網羅することは可能です。ただし、面接記録には「過重労働による疲労蓄積」と「心理的負担の状況」の双方を漏れなく記載する必要があります。また、ストレスチェックに基づく面接は労基署への報告義務があるため、対象者が重複する場合でも報告漏れがないよう適切に管理しましょう。
参考リンク:高ストレス者への医師による面接指導|手順と実務のポイントを解説
QQ(12-4). 面接指導はテレビ電話等を利用してもよいのでしょうか。+
A面接指導の実施に当たり、テレビ電話等の情報通信機器を利用する場合の考え方及び要件については、平成27年9月15日付け通知「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第66条の8第1項、第66条の8の2第1項、第66条の8の4第1項及び第66条の10第3項の規定に基づく医師による面接指導の実施について」に示しています。情報通信機器を用いて面接指導を実施する場合は、この通知に掲げる事項に留意し てください。ただし、電話による面接指導は認められません。
解説実務上のポイント:情報通信機器(オンライン)を用いた面接指導
一定の要件を満たせば、テレビ会議システム等を利用したオンライン面接指導が可能です。ただし、医師が対象者の表情や顔色、仕草などを詳細に把握できるよう「映像と音声が即時的にやり取りできること」などが必須条件となります。そのため、表情が見えない電話のみの面接は認められません。実務上は、情報セキュリティの確保や、プライバシーが守られる静穏な環境の準備など、実施方法の詳細を衛生委員会で審議し、規定に定めておく必要があります。
参考リンク:オンラインによる産業医面談|Web活用の要件と実務のポイント
QQ(12-5). 事業者が面接指導の実施を外部の医療機関の医師に依頼した場合、医師は保険診療扱いとしてよいのでしょうか。+
A保険診療扱いはできません。労働安全衛生法に基づくストレスチェック後の面接指導は、事業者に実施義務を課していますので、その費用は当然に全額事業者が負担すべきものです。
解説実務上のポイント:面接指導の主体と費用負担
面接指導は医師による実施が法的義務であり、ストレスチェック制度は法令上、事業者に実施の義務があるため、外部委託費や医師への謝礼等の費用は全額事業者が負担しなければなりません。労働者に負担させることはできず、受診時間の賃金についても円滑な実施のために有給(業務扱い)とすることが望ましいとされています。
QQ(12-6). 高ストレス者に対して、実施者である産業医や保健師が、まずは通常の産業保健活動の一環として面談を実施し、その中で必要と判断された者について、労働安全衛生法に基づく面接指導を実施するというやり方も認められるのでしょうか。+
A面接指導の対象とすべき労働者は、「高ストレス者として選定された者であって、面接指導を受ける必要があると実施者が認めた者」ですので、実施者である産業医や保健師が、高ストレス者に対して、まずは通常の産業保健活動の一環として面談を実施し、その結果をもとに実施者が、中で労働安全衛生法に基づく医師の面接指導の対象者とすべき労働者を選定する方法も可能です。(原文ママ)
解説実務上のポイント:高ストレス者への事前面談(補足的面談)と選定プロセス
実施者が高ストレス者に対し、事前面談を通じて医師の面接指導が必要な者を絞り込む運用は可能です(補足的面談)。これにより、緊急性の高い労働者へ優先的に対応できるメリットなどがあります。ただし、恣意的な除外は認められず、衛生委員会等で定めた基準に則ることが前提です。また、事前面談の結果、正式な面接指導が不要とされた場合でも、従業員の意向の確認や、必要に応じて保健指導等のフォローアップを行い、不調の悪化を防ぐ体制を整えることが実務上重要です。
参考リンク:高ストレス者を放置していませんか?面接指導勧奨実務や工夫のポイント
QQ(12-7). 面接指導対象者の選定に関して、産業カウンセラー等心理職が補足的に面談を行う場合、面談の際にストレスチェック結果を閲覧してもよいのでしょうか。+
Aストレスチェック実施者以外の者が補足的面談を行うこととした場合、あらかじめ補足的面談を行う心理職等を実施事務従事者に選任し、労働者に心理職等がストレスチェックに関する個人情報を取り扱うことについて周知しておくことが必要です。また、心理職等の実施事務従事者は、面談内容の情報は守秘義務の対象となっていることを理解し実施していただく必要があります。
解説実務上のポイント:実施者以外の相談対応と個人情報保護
実施者以外の心理職やカウンセラー等が相談業務を目的に結果を閲覧する場合であっても、あらかじめ衛生委員会での調査審議と、実施事務従事者となっておくことが必要です。実施事務従事者とならない場合は、従業員からの結果提供同意書の取り付けが必須です。また、相談内容は厳格な守秘義務の対象となるため、情報の取り扱いルールを明確にし、労働者に安心感を与えることが重要です。実務上は、同意取得のタイミングや情報の範囲を運用規定に明記し、プライバシー保護とフォローアップの適正化を両立させる体制を構築しましょう。
参考リンク:ストレスチェック規程|衛生委員会による調査審議や作成の具体的手順を解説
QQ(13-1). 面接指導の結果に基づき、医師が事業者に就業上の措置について意見を言うことになりますが、本人が事業者へ伝えることを拒む場合には、どうすればよいのでしょうか。+
A面接指導を踏まえた就業上の措置に関する医師の意見については、必要な情報に限定すれば本人の同意が無くても事業者に伝えることができる仕組みですが、円滑に行うためには、面接指導にあたり事前に本人にその旨説明し、了解を得た上で実施することが望ましいです。事前に了解が得られない場合は、法に基づく面接指導は事業者に結果が伝わる仕組みである旨を説明し、本人の了解を得た上で、法に基づく面接指導としてではなく、事業者に伝えないことを前提に、通常の産業保健活動における相談対応として実施することも考えられます。
解説実務上のポイント:面接指導後の医師の意見書と本人の同意
就業上の措置に必要な情報の報告は、法的に本人の同意がなくても可能ですが、実務上は事前の説明と納得が不可欠です。報告を頑なに拒む場合は、法に基づく「面接指導」ではなく、会社に報告しない前提の一般相談や健康相談として扱う選択肢もあります。ただし、就業上の配慮が必要な場合はその限界を丁寧に伝え、本人に不利益が生じないよう配慮しつつ、安全配慮義務を果たすための着地点を模索することが求められます。
参考リンク:ストレスチェック面接指導|高ストレス者ケアの重要性と企業の役割 / ストレスチェックによる不利益取り扱いの禁止|運用と実務上の留意点
QQ(13-2). 面接指導の結果報告書や意見書を事業者に提出するに当たって、労働者本人の同意を得る必要はないのでしょうか+
A面接指導を踏まえた就業上の措置に関する医師の意見については、必要な情報に限定すれば本人の同意が無くても事業者に伝えることができる仕組みですが、円滑に行うためには、面接指導にあたり事前に本人にその旨説明し、了解を得た上で実施することが望ましいです。また、医師が面接指導で聴取した内容のうち、詳細な内容を除いて、労働者の安全や健康を確保するために事業者に伝える必要がある情報については、事業者が適切な措置を講じることができるように事業者に提供しますが、事業者への意見提出においては労働者本人の意向への十分な配慮が必要です
解説実務上のポイント:就業上の措置に係る医師の意見と情報範囲
医師が事業者に対して就業上の措置に関する意見を述べる際、本人の健康維持に関する必要な範囲内であれば法的に本人の同意は不要です。しかし、信頼関係の維持と円滑な運用のために「何を会社に伝えるか」を事前に説明し、了解を得るのが実務の鉄則です。伝える情報はプライバシーに配慮し、措置に必要な最小限に留めるべきです。また、この情報に基づき会社が不利益な取り扱いをしないよう、人事担当者への適切な教育と連携がセットで求められます。
参考リンク:会社はどこまでストレスチェック結果を知れる?プライバシー保護や情報の取扱いのポイント
QQ(14-1). 就業上の措置として労働時間の短縮という言葉が出てきますが、これは、8時間の就業時間をさらに短縮するということではなく、就業規則に則った範囲での短縮だということでよいでしょうか。+
Aケースバイケースとは思われますが、趣旨としては時間外労働や休日労働の削減を意味するものです。なお、就業上の措置を決定する場合には、あらかじめ当該労働者の意見を聴き、十分な話し合いを通じてその労働者の了解が得られるよう努めるとともに、労働者に対する不利益な取扱いにつながらないよう留意する必要があります。
解説実務上のポイント:就業上の措置における労働時間短縮の考え方
「労働時間の短縮」は、主に残業や休日出勤の制限を指します。措置を決定する際は、医師の意見を機械的に適用せず、本人へのヒアリングと十分な協議を経て納得を得るプロセスが重要です。また、措置を理由とした降格や不当な減給等の不利益な取り扱いは厳禁です。安全配慮義務を果たしつつ、労働者のキャリアや処遇に配慮し、本人の意向と業務実態のバランスを考慮した適切な運用が求められます。
参考リンク:ストレスチェックによる不利益取り扱いの禁止|運用と実務上の留意点
QQ(15-1). 当社は全ての部署が10人以下ですが、会社全体の集団分析以外はできないのでしょうか。+
Aいくつかの部署を合わせて集団分析を行うことも可能ですし、例えば対象集団について、ストレスチェックの評価点の総計の平均値を求める方法など個人が特定されるおそれのない方法であれば、10人を下回っていても集団分析は可能ですので、事業場の実情に応じ、工夫して対応していただきたいと思います。
解説実務上のポイント:少人数組織における集団分析の工夫
ストレスチェックにおける集団分析は、個人特定を避けるために原則10人以上となるような集計が必要ですが、近接する部署を統合して母数を確保すれば実施可能です。10人未満でも、平均値の算出など個人が特定されない工夫を凝らせば可能ですが、犯人捜しにならない安心感の醸成です。実務上は、結果を職場改善のヒントとして前向きに活用する姿勢をアナウンスし、プライバシー保護と環境改善を両立させる、バランスの良い運用を検討しましょう。また、集団分析においてもどのような集計方法で、どのような対象に行うのか、そして結果をどのように活用していくかについても、衛生委員会による調査審議を経て、ストレスチェック規程に明文化しておくことが望ましいとされます。
参考リンク: ストレスチェック規程|衛生委員会による調査審議や作成の具体的手順を解説 / ストレスチェック集団分析|職場改善改善への活用ポイント
QQ(15-2). 法定のストレスチェックとは別に、職場環境把握用の調査・分析を実施した場合は、ストレスチェックに基づく集団分析は実施しなくてもよいのでしょうか。+
A一定の科学的根拠があるなど、効果的に職場のストレスに関する職場環境把握が行える調査・分析を別途実施するということであれば、必ずしも法定のストレスチェック結果に基づく集団分析を実施していただく必要はありません。なお、この場合であっても、法定のストレスチェックは省令に規定する3つの領域に関する項目が含まれた調査票で実施していただく必要があります。
解説実務上のポイント:代替調査による集団分析の取り扱い
集団分析は努力義務ですが、別の科学的根拠のある調査を行っている場合、法定の結果を用いた分析は必須ではありません。ただし、個人のストレスチェック自体は「仕事のストレス要因」「心身の反応」「周囲のサポート」の3領域を含む法定項目で行う必要があります。実務上は、別途調査の内容が職場改善に資するか検討し、重複による現場の負担を避けつつ、実効性のある環境改善サイクルを構築することが重要です。
参考リンク: 新職業性ストレス簡易調査票『いきいきプロフィール』活用ガイド / ストレスチェック義務化ガイドライン|現行ルールから50人未満対応まで2026年最新情報で解説
QQ(15-3). 10人を下回る集団でも労働者の同意なく集計・分析できる方法とは、どういう方法なのでしょうか。+
A個々の労働者が特定されるおそれがないような方法で実施することが考えられます。例えば、ストレスチェックの評価点の総計の平均値を求める方法などが考えられます。 具体的に、集団ごとの集計・分析を、どのような方法で実施するかについては、衛生委員会等で調査審議した上で決めていただきたいと思います。
解説実務上のポイント:10人未満の集団分析における匿名性の確保
10人未満の集団分析は、原則本人の同意が必要ですが、個人を特定できない加工(平均値のみの算出など)を行えば、同意なしでの実施も可能です。ただし、「誰がどう回答したか」が推測されるリスクを最小限にする必要があります。実務上は、どの程度の人数まで、どのような集計方法を採用するかをあらかじめ衛生委員会で審議し、規定化することが重要です。職場の規模や特性に合わせた、運用の透明性と信頼性の確保が求められます。
QQ(15-4). 10人を下回る集団でも労働者の同意なく集計・分析できる方法として、「仕事のストレス判定図」を用いることは可能でしょうか。+
A「仕事のストレス判定図」は、職業性ストレス簡易調査票の57項目の質問のうち、心理的な仕事の負担(量)、仕事のコントロール度、上司からのサポート、同僚からのサポートの4つの尺度(それぞれの尺度の質問数は3問)ごとの評価点の合計について、その平均値を求め、その値によって職場のストレス状況について分析する方法です。この方法は、直ちに個人の結果が特定されるものではないことから、10人を下回る集団においても、「仕事のストレス判定図」を用いて集団ごとの集計・分析を行うことは可能です。ただし、この手法による場合も、極端に少人数の集団を対象とすることは、個人の結果の特定につながるため不適切です。なお、「仕事のストレス判定図」を用いて10人を下回る集団を対象として集団ごとの集計・分析方法を行う場合も、衛生委員会等で調査審議した上で事業場内の規程として定め、労働者に周知していただく必要があります。
解説実務上のポイント:10人未満の職場における「仕事のストレス判定図」の活用
仕事のストレス判定図は尺度の平均値を用いるため、10人未満の集団でも個人の特定に直結しないため実施が可能です。ただし、数名程度の極端に少人数の場合は特定リスクが高まるため避けるべきです。実施にあたっては、この手法を用いることを衛生委員会等で審議し、社内規程に明記した上で、労働者へ周知するプロセスが必須となります。匿名性の確保と職場改善への活用のバランスを考慮した運用が求められます。
参考リンク:ストレスチェック集団分析|職場改善改善への活用ポイント / 仕事のストレス判定図・健康リスク|自動計算・アドバイスツール
QQ(16-1). ストレスチェックとは違う場面で労働者に面接を行う中でメンタルヘルス不調を把握し、必要に応じてその労働者を医療機関に紹介するということもあると思いますが、その場合にストレスチェック結果を医療機関に提供することはできるのでしょうか。+
Aストレスチェック結果は受検者の同意が得られなければ、第三者となる医療機関には提供できません。
解説実務上のポイント:医療機関への情報提供と本人同意の原則
ストレスチェックの結果は機微な個人情報であり、提供には本人の同意が不可欠です。たとえ通常の健康相談等で不調を把握し、受診を勧める場合であっても、本人の承諾なく過去の検査結果を医療機関に送ることはできません。実務上は、情報提供が適切な診断や治療に資することを本人に説明し、納得を得た上で同意書を交わすフローを徹底しましょう。プライバシー保護と適切な医療連携の両立が運用上の鍵となります。
QQ(16-2). 個人データを氏名、年齢、所属部署などを削除し、個人が識別できない状態にしてストレスチェック結果を事業者が取得することは可能でしょうか。+
A当該データにより、または他の情報と照合しても個人識別ができない状態であれば、その情報は個人情報には当たらないので、事業者による取得に特段の制限はかかりません。しかし、人数が少なく、個人が特定されるおそれがある場合は、実施者から取得することは望ましくなく、こうした情報を事業者が取得する場合は、あらかじめ衛生委員会等で取得目的、共有範囲、活用方法等について調査審議を行い、その内容について労働者に周知していただく必要があります。
解説実務上のポイント:匿名化されたデータの取り扱いと留意点
個人を完全に特定できない状態であれば事業者の取得は可能ですが、少人数の職場では他の情報との照合により個人が推測されるリスクがあります。実務上は、たとえ匿名加工を行う場合であっても、取得目的や情報の活用範囲について衛生委員会で調査審議し、ストレスチェック規程に定めて周知することが不可欠です。労働者の信頼を損なわないよう、プライバシー保護と職場環境改善の目的外利用防止を徹底する運用が求められます。
参考リンク: ストレスチェック規程|衛生委員会による調査審議や作成の具体的手順を解説
QQ(16-3). ストレスチェックの結果、「高ストレス者が何人いたか」「面接指導の対象者が何人いたか」のデータを実施者から事業者が取得してよいのでしょうか。+
A集団内の高ストレス者や面接指導対象者の人数自体は、個人情報には当たらないため、事業者による取得に特段の制限はかかりませんが、小さな集団の内数など、個人が特定されるおそれがある場合は、実施者から取得することは望ましくありません。 こうした情報を事業者が取得する場合は、あらかじめ衛生委員会等で取得目的、共有範囲、活用方法等について調査審議を行い、その内容について労働者に周知していただく必要があります。
解説実務上のポイント:人数集計データの取得とプライバシー保護
高ストレス者数などの集計データは、個人情報に該当せず原則として事業者の取得が可能です。しかし、少人数部署では数値の把握が実質的に個人の特定につながるリスクがあります。実務上は、データの取得目的や活用方法、共有範囲を衛生委員会で事前に審議し、規程に定めて周知することが重要です。数値の公表が特定個人を突き止めようとする動きにつながるなど、不利益な扱いに繋がらないよう、慎重な管理と労働者への安心感の醸成が求められます。
QQ(16-4). ストレスチェック結果に関する情報の開示請求について、本人から開示請求を行った場合、医師の意見も含めて、医師による面接指導結果は全て開示していただけるのでしょうか。+
A個人情報保護法第25条第1項の規定により、本人から、当該本人が識別される保有個人データの開示を求められたときは、本人に対し、当該保有個人データを開示しなければなりませんが、開示することにより、
①本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
②当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
③他の法令に違反することとなる場合
のいずれかに該当する場合は、その全部又は一部を開示しないことができます。このため、面接指導結果については、本人から開示の請求があった場合は、原則として開示する必要がありますが、面接指導結果の中には、業務との関連性に関する判断や、就業上必要と思われる措置に関する意見、職場環境の改善に関する意見なども含まれており、本人に開示することにより、本人、面接指導を行った医師、事業者等の間の関係が悪化するなど、これらの者の利益を害するおそれがある場合や、症状についての詳細な記載があって、本人に十分な説明を行ったとしても、本人に重大な心理的な影響を与え、その後の対応に悪影響を及ぼす場合なども考えられますので、結果に記載されている内容に応じて、どこまで開示するべきかを個別に判断する必要があります。解説実務上のポイント:面接指導結果の開示請求への対応
面接指導結果の開示請求には原則応じる必要がありますが、医師の意見や職場環境への言及が含まれるため、慎重な判断が求められます。本人や関係者の利益を害する場合や、本人の心理状態に悪影響を及ぼす恐れがある場合は、非開示や一部開示の検討も可能です。実務上は、開示の範囲や手順を運用規定で明確にしつつ、医師と連携して個別に判断を行うことで、信頼関係の維持と適切な情報管理を両立させることが重要です。
QQ(16-5). ストレスチェックの実施者は、過去(自らが実施者ではなかった時期)のストレスチェック結果を知ることはできるのでしょうか。+
Aストレスチェックの実施者が、必要に応じて過去(自らが実施者ではなかった時期)のストレスチェック結果を知ることは問題ありません。ストレスチェックによる高ストレス者の選定や面接指導の要否の判定のためには、ストレスの傾向や変化を把握し、比較検討するため、過去のストレスチェック結果を参照する必要がある場合があります。このため、労働安全衛生法第66条の10に基づき、事業者が医師等の実施者によるストレスチェックを行うという行為は、必要に応じて、実施者に過去のストレスチェック結果を参照させることも含む概念です。したがって、ストレスチェックの実施者が、ストレスチェックの実施において、過去のストレスチェック結果を参照する必要が生じた場合に、事業者から当該結果を保存している担当者に結果提供の指示をしてもらい、過去の結果の保存担当者から、過去のストレスチェック結果の提供を受ける行為は、安衛法第66条の10で義務付けられている行為を遂行するために必要な行為であることから、個人情報保護法第23条の適用は受けず、安衛法第105条に抵触もせず、本人同意を取得する必要はありません。
解説実務上のポイント:新ストレスチェック実施者への過去結果の提供と本人同意
ストレスチェックの適切な判定や経年変化の把握のため、現在の実施者が過去の受検結果を参照することは業務上必要であり、法的に認められています。この情報の受け渡しは、労働安全衛生法に基づく義務の遂行に必要な行為と整理されるため、個人情報保護法上の第三者提供には当たらず、改めて本人の同意を得る必要もありません。円滑な引き継ぎと精度の高い判定のため、過去データの保管場所や共有手順を明確にしておくことが重要です。
参考リンク: ストレスチェック実施者とは?役割・選定基準や実務を詳しく解説 / ストレスチェック結果の取り扱い|結果の通知と保存、個人情報保護の運用ポイント
QQ(16-6). 指針において、労働者に対する不利益な取扱いの防止に関して、「面接指導の要件を満たしているにもかかわらず、面接指導の申出を行わない労働者に対して、これを理由とした不利益な取扱いを行うこと」が行ってはならない行為として記載されていますが、面接指導の要件を満たしているかどうかを事業者が予め把握することを想定しているのでしょうか。労働者からの申出がない限り、把握できないのではないでしょうか。+
A労働者が面接指導の要件を満たしているかについて事業者が把握できるのは、本人の同意によってストレスチェック結果が事業者に提供された場合又は本人から面接指導の申出があったことにより事業者がストレスチェック結果を把握可能になった場合に限られます。したがって、ストレスチェック指針の面接指導の申出を行わない労働者に対する不利益な取扱いに関する記載は、本人の同意によってストレスチェック結果が事業者に提供され、事業者が、労働者が面接指導の要件を満たしているかどうかを把握している場合を想定しているものです。
解説実務上のポイント:不利益な取扱いの禁止と事業者の情報把握
上記のQ&Aにおけるストレスチェック指針における不利益な取扱いの禁止規定は、事業者が既に高ストレス者であることを把握しているケースを想定しています。本人の同意により結果が提供されている場合、面接指導の勧奨を行っても本人が申し出ないことがありますが、そのこと自体を理由に、評価の引き下げや不当な配置転換を行うことは禁じられています。企業は結果の把握有無に関わらず、申し出を強制せず、不利益な扱いが生じないよう運用を徹底する必要があります。
QQ(17-1). 外部機関の要件として、心理職が必要ということになっているのでしょうか。+
A外部機関の要件は定めていませんが、外部機関においてストレスチェックや面接指導が適切に実施できる体制及び情報管理が適切に行われる体制が整備されているか等について事前に確認いただくことが望ましいと考えています。具体的には実施マニュアル(119 ページ)に外部委託の場合のチェックリスト例が掲載されているので参考にしていただきたいと思います。
解説実務上のポイント:ストレスチェック委託先(外部機関)選定時の確認事項
外部機関への委託に際し、心理職の配置は必須要件ではありません。しかし、ストレスチェックや面接指導が適切に行える体制、および厳格な情報管理体制が整備されているかを事前に確認することが重要です。選定時には厚生労働省のマニュアルにあるチェックリスト等を活用し、委託先の専門性やセキュリティ水準を評価しましょう。安易な価格選定ではなく、実効性のあるメンタルヘルス対策のパートナーとして、信頼できる機関を選ぶことが実務上の鍵となります。
参考リンク:
ストレスチェック外部委託チェックリストによる委託先選定のポイント|Excelチェック表付き
ストレスチェックサービス30選!価格・機能一覧表や集団分析の充実度を外部委託先ごとに比較
QQ(17-2). 外部機関にストレスチェックの実施を委託する場合には、1機関に委託できる人数は何名までというようなことを決めないのでしょうか。+
A外部機関によって実施体制、実施方法等に差異があるため、外部機関がストレスチェックを実施する場合に1機関何名までという基準を示すことは予定していません。
解説実務上のポイント:外部委託における対象人数と体制確認
外部機関への委託人数に法的な上限はありません。しかし、委託先の処理能力や医師の確保状況により、結果通知の遅延や質の低下を招く恐れがあります。実務上は、委託先の体制が自社の規模に見合っているか、専門職の充足状況を事前に確認することが重要です。単一の機関で対応しきれない場合は、拠点ごとの分割委託や予備の医師確保など、滞りなく実施できる体制を整えるための事前の調整が求められます。
参考リンク:
ストレスチェック外部委託チェックリストによる委託先選定のポイント|Excelチェック表付き
ストレスチェックサービス30選!価格・機能一覧表や集団分析の充実度を外部委託先ごとに比較
QQ(18-1). 派遣労働者へのストレスチェックについて、例えば、ある派遣元と雇用契約を結んでいる派遣労働者が200 人おり、そのうち、ある派遣先事業場に20人が派遣されており、その事業場には20人の派遣労働者と派遣先の正規職員40 人の合わせて60人の従業員がいる場合、ストレスチェックの実施義務はどこにどのように生じるのでしょうか。+
A派遣元がストレスチェックを実施する場合には、派遣元と雇用契約を結んでいる派遣労働者が50人以上いるかという点で判断するので、例えば200人いるということであれば、何人をどこに派遣していようが、ストレスチェックを実施する義務が派遣元に生じます。また、派遣先事業者に労働者が60人(内20人が派遣労働者)という場合、正規の労働者は40人しかいなくても、事業場の人数の数え方は派遣労働者を含めてカウントするため、そのような派遣先にはストレスチェックの実施義務があり、派遣先は40人の正規労働者に対してストレスチェックを実施する義務が生じることになります。なお、派遣先については、派遣労働者に対しストレスチェックを実施する義務はありませんが、派遣労働者20人に対してもストレスチェックを実施するとともに、職場の集団ごとの集計・分析を実施することが望まれます。
解説実務上のポイント:派遣労働者の実施義務と人数カウント
派遣労働者のストレスチェック実施義務は、雇用関係のある派遣元にあります。派遣元全体で50人以上なら全労働者が対象です。一方、派遣先では事業場の労働者数を数える際のみ派遣労働者を含めます。派遣先が50人以上の場合、自社の正規職員への実施義務が生じますが、派遣労働者への実施は義務ではありません。ただし、職場改善の観点から、派遣先が派遣労働者を含めて一体的に実施・分析することが推奨されています。
参考リンク:ストレスチェック義務化ガイドライン|現行ルールから50人未満対応まで2026年最新情報で解説
QQ(18-2). 派遣先事業者が派遣労働者についてストレスチェックを行う努力義務は何が根拠なのでしょうか。+
A法令に基づく努力義務ではなく、指針による望ましい措置となります。
解説実務上のポイント:派遣先での対応根拠
派遣先が派遣労働者にストレスチェックを行うことは、法律上の努力義務ではなく、ストレスチェック指針に基づく望ましい措置です。義務は雇用主である派遣元にあります。一方、派遣先は労働環境を直接管理する立場にあるため、安全配慮義務や職場改善の観点から、自社の集団分析に派遣労働者を加えることが推奨されています。現場の実態を正確に把握し、実効性のある改善に繋げる運用を検討しましょう。
参考リンク:ストレスチェック義務化ガイドライン|現行ルールから50人未満対応まで2026年最新情報で解説
QQ(18-3). 派遣労働者のストレスチェック結果について、派遣先で実施したストレスチェックの結果を、本人の同意を得た上で派遣元で入手し、利用してもよいのでしょうか。+
A本人の同意があれば、派遣先が実施したストレスチェックの結果を派遣元が入手して利用することも可能ですが、派遣労働者に対するストレスチェックの実施義務は派遣元にありますので、派遣先の結果を利用する場合は、派遣元が派遣先に実施を委託していただき、実施費用も派遣元が負担する必要があります。本人同意を得て派遣先が実施した結果の写しなどを入手するだけでは、派遣元がストレスチェックを実施したものとはみなされません。
解説実務上のポイント:派遣先実施結果の利用と義務の所在
派遣元が派遣先での受検結果を利用する場合、単に同意を得て写しを入手するだけでは実施義務を果たしたことになりません。法的な実施主体は派遣元であるため、派遣元が派遣先に正式に委託し、費用を負担して実施させる手続きが必要です。結果の共有には本人の同意も不可欠ですが、まずは契約関係と費用負担の整理を優先しましょう。安易な情報の受け渡しは義務違反となるリスクがあるため、適正な委託契約に基づく運用を徹底してください。
QQ(18-4). 派遣先事業場において、派遣労働者にもストレスチェックを実施した場合、労働基準監督署に報告する様式には、派遣労働者の数も含めて報告する必要があるでしょうか。また、義務対象外のパートやアルバイト(勤務時間が正社員の4分の3未満の者)にもストレスチェックを実施した場合、同様に報告対象となるでしょうか。+
A労働基準監督署への報告は、法律に定められている義務が適切に履行されているかどうかを確認するためのものです。したがって、労働基準監督署に報告いただくのは、義務の対象となっている人数となりますので、派遣先における派遣労働者や、義務対象外のパート・アルバイトについては、報告する人数に含めていただく必要はありません。
解説実務上のポイント:労働基準監督署への報告対象人数
労働基準監督署への実施報告は、法的な義務が履行されているかを確認するためのものです。そのため、報告書に記載する人数は、実施義務がある労働者のみが対象となります。派遣先の派遣労働者や、勤務時間が基準に満たない義務対象外のパート・アルバイトに対して任意で実施した場合でも、報告人数に含める必要はありません。実務上は、報告対象者のカウントを誤らないよう、社内の受検対象名簿と照らし合わせて正確に集計しましょう。
参考リンク:ストレスチェック報告書(労基署への「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」)の作成と電子申請手順
QQ(19-1). 労働基準監督署への報告対象について、通常の産業医面談で終了し、ストレスチェック後の法定の面談に移行しなかった場合は、ストレスチェック制度による医師面談に該当せず、報告の必要はないということでしょうか。+
A報告いただくのは法第66条の10に基づく面接指導の実施人数であり、通常の産業医面談の人数ではありません。
解説実務上のポイント:労働基準監督署への報告対象
労働基準監督署に報告する面接指導の実施人数は、あくまでストレスチェックの結果に基づいて行われた、労働安全衛生法第66条の10第3項の規定による面接指導の人数です。通常の健康診断後に行われる事後措置の面談や、一般的な健康相談などの実施人数は含まれません。実務上は、どの面談が法的なストレスチェックの面接指導に該当するのかを明確に管理し、報告時に他の産業医面談と混同しないよう正確に集計することを徹底しましょう。
参考リンク:ストレスチェック報告書(労基署への「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」)の作成と電子申請手順
QQ(19-2). ストレスチェックに関する労働基準監督署への報告様式には産業医の記名欄がありますが、産業医がストレスチェックに関与していない場合も記載する必要があるのでしょうか。+
A産業医の職務にはストレスチェックと面接指導に関する事項が含まれており、少なくとも報告の内容は産業医にも知っておいていただくべきものなので、産業医がストレスチェックに関与していなくても報告内容を確認の上で産業医欄に記名していただきたいと思います。
解説実務上のポイント:報告書への産業医の記名と役割
労働基準監督署への報告書にある産業医欄は、産業医が直接ストレスチェックに関与していない場合でも、内容を確認した上で記名が必要です。産業医の職務にはストレスチェックや面接指導に関する事項が含まれており、事業場の状況を把握しておく責任があるためです。実務上は、報告前に産業医へ実施結果や面接指導の状況を共有し、連携を図るプロセスを組み込みましょう。これにより、産業保健体制の形骸化を防ぐことにもつながります。
参考リンク:産業医とは?役割や活用メリットを人事労務向けに分かりやすく解説 / 産業医選任報告と届の記入例|添付書類や電子申請方法、令和8年からの解任届も解説
QQ(19-3). ストレスチェックに関する労働基準監督署への報告については罰則があるのでしょうか。また、50人未満の事業場においてストレスチェックを実施した場合には報告義務はあるのでしょうか。+
A労働基準監督署への報告は労働安全衛生法第100条に基づくものであり、違反の場合には罰則があります。50人未満の事業場については、報告義務はありません。
解説実務上のポイント:報告のタイミングと義務の境界線
50人以上の事業場には年1回の報告義務があり、実施後速やかに所轄の労働基準監督署へ提出する必要があります。明確な月日の期限はありませんが、定期的に実施状況を報告しない場合は法違反となり、罰則の対象となるため注意が必要です。一方、50人未満の事業場は実施自体が2028年5月(予定)までは努力義務であり、任意で実施した場合でも報告の義務はありません。ただし、ストレスチェックを実施する場合はストレスチェック指針やマニュアルに準じることが必要です。自社の規模に応じた義務範囲を正確に把握し、適切な事務手続きを行いましょう。
参考リンク:
ストレスチェック義務化ガイドライン|現行ルールから50人未満対応まで2026年最新情報で解説
ストレスチェック報告書(労基署への「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」)の作成と電子申請手順
QQ(19-4). 本社と所在地が異なる事業場において、ストレスチェックを本社の産業医を実施者として実施しましたが、労働基準監督署への報告中「検査を実施した者」はどう記入すべきでしょうか。+
A「2 事業場所属の医師(1 以外の医師に限る。)、保健師、歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師」として記入していただきたいと思います。
解説実務上のポイント:別事業場での実施者による報告書の記入
本社所属の産業医が支店などの別事業場でストレスチェックを実施した場合、報告書の実施者欄は「事業場所属の医師(その事業場の産業医以外)」として扱われます。その事業場で選任されている産業医ではないため、区分2に該当することに注意が必要です。実務上は、報告を行う事業場ごとに産業医の選任状況を確認し、形式的な不備が生じないよう正しい区分で記載することを徹底しましょう。
参考リンク:
ストレスチェック報告書(労基署への「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」)の作成と電子申請手順
事業者・事業主・事業場・事業所の違いとは?法遵守の基本を解説
QQ(19-5). 面接指導を労働者によって産業医が実施する場合と他の医師が実施する場合がありますが、その場合に「面接指導を実施した者」はどう記入すべきでしょうか。+
A主として面接指導を実施する者について記入していただきたいと思います。
解説実務上のポイント:報告書における面接指導実施者の記入方法
面接指導を産業医とそれ以外の医師が分担して実施している場合、報告書の実施者欄には、主として面接指導を担当した医師の区分を記入します。必ずしも選任されている産業医である必要はなく、実態に合わせて記載することが求められます。実務上は、面接指導の実施体制をあらかじめ整理しておき、報告時に実施件数と実施者の区分に齟齬が生じないよう、正確な実績把握に努めることが大切です。
参考リンク:ストレスチェック報告書(労基署への「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」)の作成と電子申請手順
QQ(19-6). ストレスチェックを実施しなかった場合も、労働基準監督署に報告を行う必要はあるのでしょうか。報告しなかった場合は、罰則の対象となるのでしょうか。+
Aストレスチェックを実施しなかった場合も、労働安全衛生法第100条及び労働安全衛生規則第52条の21の規定に基づき、「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(様式第6号の2)」を所轄の労働基準監督署長に提出する義務があります。また、提出しなかった場合は、労働安全衛生法第120条第5号の規定に基づき、罰則の対象となります。
解説実務上のポイント:未実施時の報告義務と罰則のリスク
ストレスチェックを実施しなかった場合でも、常時50人以上の労働者を使用する事業場には報告義務があります。実施の有無にかかわらず所定の報告書を提出する必要があり、未提出は労働安全衛生法違反として罰則の対象となります。実務上は、未実施であっても現状を報告し、速やかに実施体制を構築することが重要です。報告義務は単なる結果報告ではなく、制度の運用管理状況を当局へ示す重要な手続きであると認識しましょう。
参考リンク:安全配慮義務とは?企業が守るべき基本と具体的な対策を解説 / 労働安全衛生法の基本を解説|人事労務が知るべき法令の重要ポイント
QQ(19-7). 労働基準監督署への報告について、労働安全衛生規則では、事業場ごとに報告しなければならない旨の規定はされていませんが、本社でまとめて報告するという方法も可能でしょうか。+
A労働基準監督署への報告については、事業場ごとに、管轄の労働基準監督署まで提出していただく必要がありますので、本社でまとめて報告することはできません。
解説実務上のポイント:事業場単位での報告義務
ストレスチェックの実施報告は、企業全体で一括して行うことはできず、各事業場がそれぞれの所在地を管轄する労働基準監督署へ個別に提出する必要があります。たとえ本社が全社の実施事務を代行している場合でも、書類自体は拠点ごとに作成しなければなりません。実務上は、支店や工場ごとの実施人数を正確に把握し、管轄の監督署をリストアップしておくなど、複数の拠点にまたがる提出事務を効率的かつ確実に行える体制を整えましょう。
QQ(19-8). 労働基準監督署への報告方法について、全社員を対象に、年に複数回ストレスチェックを実施している場合、どのように報告すればよいのでしょうか。実施の都度、報告するのでしょうか。+
A労働基準監督署への報告は、1年に1回、法令に定められている事項の実施状況を報告していただくためのものですので、全社員を対象に複数回実施している場合は、そのうち1回分について報告していただくようお願いします。実施の都度、複数回報告していただく必要はありません。
解説実務上のポイント:年複数回実施時の報告ルール
労働基準監督署への報告は、事業場における法定義務の履行状況を年に一度確認するためのものです。そのため、全従業員を対象にストレスチェックを年2回以上実施している場合でも、そのうち1回分の実績をまとめて報告すれば足ります。実施のたびに報告書を提出する必要はありません。運用の効率化を図るため、あらかじめ報告対象とする回を社内で決めておき、集計事務の重複を避けるようにしましょう。
QQ(19-9). 労働基準監督署への報告方法について、部署ごとに実施時期を分けて、年に複数回ストレスチェックを実施している場合、どのように報告すればよいのでしょうか。実施の都度報告するのでしょうか。+
A1年を通じて部署ごとに実施時期を分けて実施している場合は、1年分をまとめて、会社全体の実施結果について報告していただく必要があります。実施の都度、複数回報告していただく必要はありません。ご報告いただく際、「検査実施年月」の欄には、報告日に最も近い検査実施年月を記載いただくようお願いします。
解説実務上のポイント:分割実施時の合算報告と月日の記載
部署ごとに時期をずらして実施していても、報告は年1回にまとめて事業場全体の合計値を提出します。実施のたびに報告する必要はありません。報告書の検査実施年月欄には、対象期間の中で最も直近の実施月を記入します。実務上は、1年間の集計期間をあらかじめ定めておき、各部署の受検人数や面接件数を合算して管理することで、報告漏れや重複を防ぎ、事務負担を軽減することが可能です。
QQ(19-10). 労働基準監督署への報告様式の記載方法について、在籍労働者数は、どの数を記載すればよいのでしょうか。派遣労働者やアルバイト・パートも含めた全ての在籍従業員数でしょうか。+
A労働基準監督署への報告は、法令に定められている事項の実施状況を確認するためのものです。したがって、労働基準監督署に報告いただく様式の「在籍労働者数」の欄に記載するのは、ストレスチェックの実施時点(実施年月の末日現在)でのストレスチェック実施義務の対象となっている者の数(常時使用する労働者数)となります。具体的には、正規労働者及び以下の条件をどちらも満たすパート・アルバイトの数を記載していただくことになりますので、派遣先における派遣労働者や、以下の条件に満たないパート・アルバイトは在籍労働者数に加えていただく必要はありません。
1)期間の定めのない労働契約により使用される者(期間の定めのある労働契約により使用される者であって、当該契約の契約期間が1年以上である者並びに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者及び1年以上引き続き使用されている者を含む。)であること。
2)その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。解説実務上のポイント:報告書に記載する在籍労働者数の数え方
報告書の人数欄には、法令で実施が義務付けられている労働者数のみを記入します。具体的には正規職員のほか、1年以上使用される見込みがあり、かつ週の労働時間が正社員の4分の3以上であるパートやアルバイトが対象です。派遣先の派遣労働者や短時間勤務者は除外して計算します。
詳しくは、ストレスチェック義務化ガイドライン内、「4 ストレスチェック対象者の選定」をご参照ください。
QQ(19-11). 労働基準監督署への報告様式の記載方法について、派遣先事業場において、派遣労働者にもストレスチェックを実施した場合、労働基準監督署に報告する様式の「検査を受けた労働者数」の欄には、派遣労働者の数も含めて報告する必要があるでしょうか。また、義務対象外のパートやアルバイト(勤務時間が正社員の4分の3未満の者)にもストレスチェックを実施した場合、同様に報告対象となるでしょうか。また、「面接指導を受けた労働者数」の欄についてはいかがでしょうか。+
A労働基準監督署への報告は、法令に定められている事項の実施状況を確認するためのものです。したがって、労働基準監督署に報告いただく様式の「検査を受けた労働者数」の欄に記載するのは、ストレスチェックの実施義務の対象となっている者のうち、ストレスチェックを受けた人数となりますので、派遣先における派遣労働者や、義務対象外のパート・アルバイトについては、ストレスチェックを受けていたとしても、様式に記載する人数に含めていただく必要はありません。
解説実務上のポイント:報告対象外の人数を除外する集計方法
報告書は義務の履行を確認する書類であるため、法令上、任意で実施した派遣労働者や基準外の短時間労働者の数は一切含めません。受検人数だけでなく面接指導の人数も同様です。実務上は、産業医や委託機関から届くデータが全受検者となっている場合が多いため、報告書の作成時には必ず雇用区分や労働時間で抽出を行い、法定対象者のみを正確に抽出して記載するよう注意が必要です。
詳しくは、ストレスチェック義務化ガイドライン内、「4 ストレスチェック対象者の選定」をご参照ください。
QQ(20-1). 産業医の選任の義務付け対象となっていない小規模事業場がストレスチェックや面接指導を実施する場合は、地域産業保健センターを活用できるということですが、地域産業保健センターで全て無料で実施していただけるということでしょうか。+
A産業保健総合支援センターの地域窓口(地域産業保健センター)では、小規模事業場に対する相談支援などを行っています。ストレスチェック制度に関しては、ストレスチェック自体を地域産業保健センターで実施することは予定していませんが、ストレスチェックの結果に基づく面接指導は、依頼に応じて無料で実施することが可能です。なお、地域産業保健センターの活用のほか、小規模事業場におけるストレスチェックの実施に対する支援として、小規模事業場が、ストレスチェックや面接指導を実施した場合の費用を助成する助成金、労働者健康安全機構が設けています。
解説実務上のポイント:小規模事業場の支援制度と助成金の活用
地域産業保健センターはストレスチェックの検査そのものは行いませんが、その後の医師による面接指導を無料で依頼できます。検査費用については、労働者健康安全機構が提供する助成金を活用することで、実施に伴うコスト負担を軽減することが可能です。2028年5月(予定)まで、50人未満の事業場は当面努力義務ですが、これらの外部リソースや金銭的支援を組み合わせることで、無理のない範囲でメンタルヘルス対策を推進することが実務上の賢い選択となります。なお、助成金については毎年、制度や予算上限が変わるため、厚生労働省や労働者健康安全機構による最新情報をご確認ください。
参考リンク:地域産業保健センターの活用|小規模事業場のための相談窓口ガイド
QQ(21-1). 労働者がストレスチェックの結果の提供に同意せず、面接指導の申出もしないために、企業が労働者のストレスの状態やメンタルヘルス上の問題を把握できず、適切な就業上の配慮を行えず、その結果、労働者がメンタルヘルス不調を発症した場合の企業の安全配慮義務についてはどのようにお考えればよいのでしょうか。+
A安全配慮義務については、民事上の問題になりますので、司法で判断されるべきものであり、行政から解釈や考え方を示すことはできません。なお、労働契約法では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」とされており、また、労働者のストレスの状態やメンタルヘルス上の問題の把握は、ストレスチェック以外の機会で把握できる場合も考えられますので、ストレスチェック結果が把握できないからといって、メンタルヘルスに関する企業の安全配慮義務が一切なくなるということはありません。
解説実務上のポイント:ストレスチェックと安全配慮義務の関係
ストレスチェック結果を把握していないからといって、企業が負う安全配慮義務が直ちに免除されるわけではありません。安全配慮義務は、日々の業務量や言動の変化など、ストレスチェック以外のあらゆる接点を通じて、労働者の健康リスクに配慮することを求めています。万が一、本人が結果提供や面接を拒否していても、職場環境や周囲の観察から不調の予兆が察知できる状況であれば、企業は適切な配慮を行う必要があります。民事上の責任を問われないためにも、制度の枠組みだけに頼らず、日常的なマネジメントを通じて健康管理に努める姿勢が実務上極めて重要です。
参考リンク:安全配慮義務とは?企業が守るべき基本と具体的な対策を解説 / 労働契約法とは|基本原則や重要ポイントを分かりやすく解説
QQ(21-2). 産業医が実施者となり、ストレスチェック結果により、労働者のメンタルヘルス上の問題を把握していたにもかかわらず、労働者がストレスチェック結果の提供に同意せず、面接指導の申出もしないために、企業側に情報提供や助言指導を行えず、その結果、労働者がメンタルヘルス不調を発症した場合の産業医の安衛法上及び民事上の責任についてはどのようにお考えればよいのでしょうか。+
A民事上の責任については、司法で判断されるべきものであり、行政から解釈や考え方を示すことはできません。なお、ストレスチェックの結果は、労働者本人の同意がない限りは実施者(産業医)にとどまり、事業者に提供されないということは、労働安全衛生法の規定するところであり、労働者の同意を得られず、産業医が知っているストレスチェックの結果が事業者に伝わらず、その結果就業上の措置が講じられなかったとしても、産業医個人の責任が問われるような性格のものではありません。
解説実務上のポイント:産業医の秘匿義務と責任の所在
ストレスチェック制度では、本人の同意がない限り結果を事業者に提供しないことが制度の根幹です。そのため、産業医が結果から問題を把握していても、本人の同意や申し出がないために事業者に情報を共有できず、結果として不調が生じたとしても、そのこと自体で産業医個人の安衛法上の責任が問われるものではありません。ただし、産業医としては面接指導の勧奨を行うなど、制度の枠組みの中で可能な支援を尽くすことが実務上求められます。
参考リンク:産業医とは?役割や活用メリットを人事労務向けに分かりやすく解説
QQ(21-3). 産業医が実施者としてストレスチェックを実施し、医師による面接指導等が必要と判断した労働者が、面接指導を希望せず、事業者へのストレスチェック結果の提供にも同意しない場合に、産業医から通常の産業保健活動の一環として実施する面談を受けるよう強く勧奨してもよろしいのでしょうか。+
A面接指導を希望しない労働者についても、通常の産業保健活動の中で相談対応が行われることは望ましいことですので、実施者である産業医が、通常の産業保健活動の一環として産業医面談を受けるよう勧奨することは問題ありません。このようなストレスチェック後の対応方法については、必要に応じて衛生委員会等において調査審議を行って、社内ルールを決めていただくようお願いします。
解説実務上のポイント:通常の産業保健活動への誘導と合意形成
ストレスチェック制度の枠組みで面接指導を拒否された場合でも、産業医が通常の産業保健活動として面談を勧めることは、労働者の健康管理の観点から非常に有益です。制度上の高いハードルを感じている労働者に対して、より緩やかな相談の場を提供することは、不調の早期発見につながります。ただし、こうした勧奨が制度の趣旨であるプライバシー保護を損なうと誤解されないよう、実施方法やルールについてはあらかじめ衛生委員会等で審議し、明確な社内規定を設けておくことが実務上重要です。
参考リンク:安全衛生委員会の設置義務基準と運営のポイント|50人以上の事業場が守るべきルールを徹底解説
Q&A出典:厚生労働省「ストレスチェック制度関係 Q&A」/解説は当サイト独自作成
