ストレスチェック制度関係Q&A解説|厚生労働省公開Q&A全文と実務ポイント

公開日: 最終更新日: 執筆:一般社団法人メンタルセーフティー推進機構
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ストレスチェックQ&Aは、厚生労働省が公開するストレスチェック指針ストレスチェック制度実施マニュアル(50人以上版・令和3年2月版)記載の内容に基づいて、記載内容の理解を手助けしたり、解釈を補足するために公開されています。当ページではQ&A記載のカテゴリーごとに全文の紹介と、当法人による実務を進めるためのポイントや補足情報を分かりやすくご紹介しています。

当ページ記載はストレスチェック制度関係Q&A(厚生労働省・令和3年2月版)を元に作成しています。最新情報は厚生労働省サイトをご参照ください。



QQ(0-1). 学校の職員や地方公務員についても対象となるのでしょうか。
A

私立公立を問わず学校の職員や地方公務員についても労働安全衛生法の適用があり、今回のストレスチェック制度についても実施対象となります。

厚生労働省「ストレスチェック制度関係Q&A(令和3年2月版)」より引用

解説

実務上のポイント:学校・自治体におけるストレスチェックの実施義務と報告の留意点
公立・私立学校や自治体も、労働安全衛生法に基づき常時50名以上の労働者がいる事業場では、年1回のストレスチェック実施が義務付けられています。公務員であっても同法の適用を受けるため、民間企業と同様の手順で実施や報告を行う必要があります。実務上は、多忙な教職員や交代制の職員など、職態に合わせた受検環境の整備が重要です。また、実施後は遅滞なく所轄の労働基準監督署へ報告書を提出する義務がある点に留意してください。なお、国家公務員へのストレスチェックは人事院が制度を策定して実施されています。

QQ(0-2). 当社は本社と事業所から成りますが、本社で一括して「事業者」として実施することは可能ですか。その場合、実施方法等について事業所ごとに衛生委員会等での調査審議が必要でしょうか。
A

労働安全衛生法の他の規定と同様に、ストレスチェック制度の規定も、事業場ごとの適用となりますが、全社共通のルールを、全社の会議体で審議するなどして定め、それを各事業場に展開するというやり方も可能です。ただし、法等の規定は事業場ごとの適用となりますので、全社共通のルールについても、各事業場の衛生委員会等において確認し、労働者に周知等していただくとともに、事業場ごとに実施者や実施事務従事者が異なる、実施時期が異なるなど、全社で共通化できない内容がある場合は、それぞれの事業場ごとに衛生委員会等で調査審議の上、決めていただく必要があります。また、実施状況について労働基準監督署への報告も各事業場が、その事業場を管轄する労働基準監督署に対して行う必要があります。

厚生労働省「ストレスチェック制度関係Q&A(令和3年2月版)」より引用

解説

実務上のポイント:事業場単位の原則と運用の効率化
ストレスチェック制度は労働安全衛生法に基づき、原則として事業場単位での実施や運用が求められます。中央安全衛生委員会など、本社組織が主導してストレスチェック規程や全社共通の指針を作成することは可能ですが、実施者や実施時期などの詳細は拠点ごとに異なるケースが多いため、各事業場の衛生委員会等で必ず調査審議を行う必要があります。また、各拠点の衛生委員会での議事録も必ず最新のストレスチェック規程と保存をし、ストレスチェック報告書の提出先も各管轄の労働基準監督署となるため、本社担当者は各拠点の進捗と報告漏れがないかを一括管理する体制を構築することが、実務上の重要なポイントです。

QQ(0-3). 建設現場など、同じ現場に関係請負人の労働者が働いている場合、ストレスチェックは関係請負人の労働者も含めて実施するのでしょうか。それともそれぞれの所属の会社で行うことになるのでしょうか。
A

ストレスチェックの実施義務はそれぞれの事業者に対して課されるもので、それぞれの労働者が所属する事業場ごとに実施する必要があります。なお、義務の対象となる「常時使用する労働者」が50人以上の数え方について、建設現場の場合は、独立した事業場として機能している場合を除き、直近上位の機構(営業所や支店など)を事業場とみなし、その事業場の所属労働者数で数えることとなります。

厚生労働省「ストレスチェック制度関係Q&A(令和3年2月版)」より引用

解説

実務上のポイント:雇用形態と事業場規模の算定
ストレスチェックの実施義務は雇用契約を結ぶ各事業者に帰属するため、元請け・下請けに関わらず、労働者が所属する会社ごとに実施する必要があります。建設現場等の有期事業では、現場単位ではなく支店等の上位組織に労働者数を含めて50人以上か否かを判断する点に注意が必要です。実務上は、派遣労働者と同様に契約関係を整理し、自社の実施対象範囲を正確に把握しておくことが、実施漏れを防ぐ鍵となります。
詳細についてはストレスチェック義務化に関する記事内、「ストレスチェックの対象者」をご参照ください。

QQ(0-4). ストレスチェックや面接指導の費用は、事業者が負担すべきものでしょうか、それとも労働者にも負担させれば良いのでしょうか。
A

ストレスチェック及び面接指導の費用については、法で事業者にストレスチェック及び面接指導の実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担すべきものです。

厚生労働省「ストレスチェック制度関係Q&A(令和3年2月版)」より引用

解説

実務上のポイント:費用負担の原則と運用
ストレスチェック等(ストレスチェックや医師による面接指導)は、法令上の義務が事業者に課されているため、費用は全額事業者が負担しなければなりません。これには検査の実施費用だけでなく、面接指導を行う医師への謝礼等も含まれます。また、受検や面接に要した時間の賃金支払いについては、法的な義務ではないものの、労働者が安心して制度を利用できるよう、勤務扱いとするなど不利益が生じない運用を検討することが推奨されます。なお、ストレスチェックをきっかけとして従業員が個人の判断で通院するといった場合までは、事業者が費用負担する必要はありません。

QQ(0-5). ストレスチェックや面接指導を受けるのに要した時間について、賃金を支払う必要がありますか。
A

賃金の支払いについては労使で協議して決めることになりますが、労働者の健康の確保は事業の円滑な運営の不可欠な条件であることを考えると、賃金を支払うことが望ましいです(一般健康診断と同じ扱い)。

厚生労働省「ストレスチェック制度関係Q&A(令和3年2月版)」より引用

解説

実務上のポイント:賃金支払いの取り扱いと受検率の向上
ストレスチェック等の実施時間は、法的に賃金支払いが義務付けられているわけではありません。しかし、メンタルヘルス不調の早期発見という目的を考慮すると、一般健康診断の扱いに準じて勤務扱いとすることが望ましいです。実務上は、受検や面接に要する時間の取り扱いをあらかじめ社内規定で明確にしておく必要があります。労働者が時間の負担を気にせず安心して受検できる環境を整えることが、制度の実効性を高める鍵となります。

QQ(0-6). 海外の長期勤務者に対するストレスチェックはどのようになるのでしょうか。
A

海外の現地法人に雇用されている場合は、日本の法律が適用されず、ストレスチェックの実施義務はありませんが、日本の企業から現地に長期出張している社員の場合は、ストレスチェックを実施する必要があります(一般健診と同じ扱い)。

厚生労働省「ストレスチェック制度関係Q&A(令和3年2月版)」より引用

解説

実務上のポイント:海外赴任者の対象範囲と実施体制
海外赴任者のストレスチェックは、雇用関係の所在によって義務の有無が決まります。日本企業からの派遣や長期出張者は、国内の一般健診と同様の扱いとなるため、実施対象に含める必要があります。実務面では、時差や通信環境を考慮し、Web受検システムの活用や、面接指導が必要になった際のオンライン対応体制を事前に整えておくことが重要です。特に異文化環境下では不調をきたしやすかったり、早期発見が難しいケースが多いため、国内基準に準じつつ、海外赴任者にも適切で迅速なフォローができる体制やルール構築が求められます。

QQ(0-7). 在籍出向労働者のストレスチェックの実施については、出向元または出向先のいずれにおいて行うのでしょうか。また、集団分析はどうなるのでしょうか。
A

ストレスチェックは、労働契約関係のある事業者において行うこととなります。在籍出向の場合に、出向先事業者と出向元事業者の間に労働契約関係があるかは、労働実態の実態、即ち、指揮命令権の所在、賃金の支払い等総合的に勘案して判断される必要があります。このため、「在籍出向労働者」のストレスチェックを出向先で行うか、出向元で行うかについては、その実態を総合的に勘案して判断する必要があります。なお、集団分析については、職場単位で実施することが意義があるため、在籍出向の実態にかかわらず、出向先事業者において、出向者も含めてストレスチェックを実施するとともに集団分析を実施することが望ましいといえます。

厚生労働省「ストレスチェック制度関係Q&A(令和3年2月版)」より引用

解説

実務上のポイント:出向者の契約形態と集団分析の最適化
在籍出向者のストレスチェックは、指揮命令権や給与支払実態に基づき労働契約関係を判断し、原則としてその契約主体である事業者が実施義務を負います。一方、集団分析は職場の環境改善が目的であるため、実務上は実際の勤務地である出向先で、自社社員と共に行うことが推奨されます。運用にあたっては、出向元と出向先で費用負担や情報提供の範囲を事前に協議し、受検漏れや二重実施を防ぐ連携体制を構築し推進するといった対応が肝要です。

QQ(0-8). 50人未満の事業場がストレスチェック制度を実施した場合についても指針に従うこととなるのでしょうか。
A

50人未満の事業場で実施する場合についても、法令、指針等に従う必要があります。ただし、労働基準監督署への報告に関しては、50 人以上の事業場に対してのみ義務付けられるものですので、50 人未満の事業場については、報告義務はありません。

厚生労働省「ストレスチェック制度関係Q&A(令和3年2月版)」より引用

解説

実務上のポイント:努力義務事業場におけるルールと報告不要の原則
常時50人未満の事業場では、2028年まではストレスチェックの実施は努力義務ですが、実施する際は法令や指針に定める情報の適切な取り扱い等のルールを遵守する必要があり、これまでの50人以上向けストレスチェックマニュアルか、新たに公開された50人未満向けストレスチェックマニュアルに沿って実施することが求められます。なお、実施後の労働基準監督署への報告は義務付けられていません。法令上は任意の位置づけであっても各種指針に沿い、メンタルヘルス不調の未然防止や安全配慮義務の観点から積極的な実施が推奨されます。
詳しくはストレスチェック義務化に関する記事内、「ストレスチェックの対象者」をご参照ください。

QQ(0-9). 指針とマニュアルの法的な位置づけはそれぞれ何でしょうか。
A

指針は法第66条の10第7項に基づく公表するものであり、事業者は、指針に基づいてストレスチェック制度を実施する必要があります。また、マニュアルは法的な位置づけがあるものではなく、事業場でストレスチェック制度を実施する際の参考として公表するものです。

厚生労働省「ストレスチェック制度関係Q&A(令和3年2月版)」より引用

解説

実務上のポイント:ストレスチェック指針の遵守とストレスチェック制度マニュアルの活用
指針は労働安全衛生法に基づき公表されたものであり、事業者はこれに即して制度を運用する義務があります。対して、マニュアルは具体的な事務手続きを例示した解説資料であり、法的拘束力はありませんが、標準的な実務を確認する際に極めて有用です。実務担当者は、まず指針で遵守すべきルールを正しく把握し、その上でマニュアルを円滑な運用のヒントとして活用しましょう。社内規程を整備する際は、指針の表現を基準に作成することが重要です。

QQ(0-10). 法に基づくストレスチェックの実施とは別に、新人研修の一環としてストレスチェックを性格検査等と組み合わせて実施することは可能でしょうか。
A

法に基づくストレスチェックの実施とは別に、新人研修の一環としてストレスチェックを性格検査等と組み合わせて実施していただくことは可能ですが、実施した場合の結果の情報管理については、今回のストレスチェック制度における考え方等に留意していただく必要があります。

厚生労働省「ストレスチェック制度関係Q&A(令和3年2月版)」より引用

解説

実務上のポイント:目的の明確化と不利益取り扱いの防止
研修等で独自に実施する場合も、制度の趣旨である不利益取り扱いの禁止や個人情報の保護を尊重する必要があります。特に性格検査と組み合わせる際は、結果が本人の意図しない形で評価や配属に利用されないよう、厳重な情報管理が求められます。良かれと思って実施した研修が、思わぬ法令違反の火種にならないよう、法に基づく検査との違いを労働者へ明確に説明し、情報の取り扱いルールを事前に周知することが肝要です。

QQ(0-11). 嘱託産業医が実施者としてストレスチェックを行う場合、従来よりも従事時間が増加しますが、その費用の助成はありますか。
A

労働者数50人以上の事業場については、ストレスチェック制度の実施は事業者の法的な義務であり、これにかかる費用を国が助成することは想定していません。なお、努力義務である労働者数50人未満の事業場については、事業場がストレスチェックや面接指導を実施した場合の費用を助成する制度を設けています(労働者健康安全機構が実施)。

厚生労働省「ストレスチェック制度関係Q&A(令和3年2月版)」より引用

解説

実務上のポイント:企業規模による助成制度の違い
50人以上の事業場では実施が法的義務であるため、費用はすべて自己負担です。産業医の工数増加に伴う追加報酬などはあらかじめ予算に組み込む必要があります。
・50人以上:義務(助成なし)
・50人未満:努力義務(助成金あり) 50人未満の事業場については、労働者健康安全機構の助成金を受けられる場合があります。実務担当者は自社の対象可否を確認し、制度を活用した効率的な運用を検討してください。
※上記はストレスチェックQ&A公開時の情報となります。

QQ(0-12). ストレスチェックの実施義務の対象は、「常時50人以上の労働者を使用する事業場」とされていますが、この50人は、どこまで含めてカウントする必要があるのでしょうか。アルバイトやパートも含めるのでしょうか。
A

労働安全衛生法第66条の10に基づくストレスチェックは、労働安全衛生法施行令第5条に示す「常時50人以上の労働者を使用する事業場」に実施義務が課されています。この場合の「常時使用している労働者が50人以上いるかどうか」の判断は、ストレスチェックの対象者のように、契約期間(1年以上)や週の労働時間(通常の労働者の4分の3以上)をもとに判断するのではなく、常態として使用しているかどうかで判断することになります。したがって、例えば週1回しか出勤しないようなアルバイトやパート労働者であっても、継続して雇用し、常態として使用している状態であれば、常時使用している労働者として50人のカウントに含めていただく必要があります。

厚生労働省「ストレスチェック制度関係Q&A(令和3年2月版)」より引用

解説

実務上のポイント:人数カウントの基準と注意点
ストレスチェックの実施義務が発生する50人の判定基準は、社会保険や一般健診の対象基準とは異なる点に注意が必要です。契約期間や週の労働時間にかかわらず、その事業場で継続的に働いている実態があれば、週1回勤務のパートやアルバイトの方も人数に含まれます。これは産業医の選任義務が生じる基準と同様です。実務担当者は、一時的な増減ではなく常態としてどうかを常に確認し、義務発生の把握漏れを防ぐことが重要です。
詳細についてはストレスチェック義務化に関する記事内、「ストレスチェックの対象者」をご参照ください。

Q&A出典:厚生労働省「ストレスチェック制度関係 Q&A」/解説は当サイト独自作成